覚えるのが得意か苦手か、どっち?
「まだ覚えなくていいですよ。覚えれないと苦痛になるだけだから」
と解剖学の先生は言った。「ほっ」と安心した。
私は覚えるのが苦手だ。これは長い間私が抱えていた問題。
特に人や物の名前を記憶に留めておくのは難しい。
それよりも理論がわかっていて、だからこの名前がついているんだよと
の流れでようやく覚えられる。
中学から大学受験の間、一番嫌いだった。だから勉強がまったく楽しくない、しかも日常生活に無関係となると頭の中にはまったく入ってこない。
スラスラと簡単に覚えていく友達が羨ましかった。
何度も何度も試してみた、
自分の知っている単語にもじってみたり、単語を分割してみたり、でも覚えられない。何度も失敗、そのたびに落ち込む。
この悲しさは覚えるのが得意な人には結局はわかってもらえない。
それはそれで悲しかったのだ。同じ人間なのに、こんなにも違うんだ。
「覚えれない」と私が言うと
「えー簡単じゃん、ただ頭の中に入れていけばいいだけ」と友達は言う。
それができればこれまで苦労はしていない。
だから私は覚えれない、人の気持ちがとてもよく理解できる。
ヨガの資格のために勉強をし始めた時のこと。
ポーズの名前、そして一番ハードルの高かったのが解剖学という学問。
漢字がいっぱいで似たような名前があるから勉強は一番最後に。
でも終わらないと次に行かれない
楽しくなかったけど、なんとか試験にパスするまでは頑張った。
頑張ったけど、楽しく覚えたわけではないので、すぐ忘れた。
迷いに迷った結果、整体師の先生の解剖学のオンラインクラスに参加した。先生の売りは「逆引き、名前から覚えなくていい」というもの。
「例外を除いて、今日のクラスでは難しい名前は出さなくていいから。」と先生は言った。この言葉で私と、そして張りつめていたクラスの雰囲気が変わったのだ。「私だけじゃなかった」と安心。
体を動かしたときに実際にどこいらへんが動いているかを確認するのが目的だ。
「名前は一番あとでいいから。大切なのは、体がどう動いているか、楽しく学ぶことが長続きもするし記憶に残るから」と先生の言葉だった。
「覚えるのが得意」「覚えるのが苦手」それがいいとか悪いのではなく
自分がどちらなのか、そして苦手だったとしたらどうしたら記憶に残せるのか、それは本人にしかわからない。
まずは自分を知ることから、そこから学びは始まるのだ。