「家を半世紀守る地図のような存在」〜高評価アンケートによる'22年1月度MVP
さくら事務所 月間MVPとは
さくら事務所には、数多くの建築士が所属し、日々依頼者様のもとへ調査にお伺いしています。その調査現場では単純作業とはいかない、人と人とのやりとりが発生するもの。インスペクターが目指すべき理想像について、毎月情報共有の場を設けて具体例をイメージしやすいよう、評価の高いアンケートを紹介、毎月表彰しています。
2022年1月の「月間MVP」向田良文さん
向田さんは以前から「丁寧な調査と、わかりやすい報告書」という評価をいただくことが多いベテランのパートナーさんです。
今回は改めて、具体的な感動ポイントを事細かにコメントされた高評価アンケートをいただきましたので、2022年の冒頭を飾るMVPとして表彰しました。
ご依頼者様の背景
高評価アンケートのコメント紹介
ポイント①「素人にも分かりやすくレクチャーしていただきながら」
ポイント②
「家を半世紀守るための地図のような存在だと思いました」
ポイント③
「住宅について、全くの素人である私に、簡単すぎず、難しすぎず、ほどよい知識をたくさん見つけて頂きました」「セルフチェックの仕方についても『ここに立って観察してみて』『ここを揺らしてみて』と一つ一つのレクチャーがとても参考になりました」
ポイント④
アンケート文末「最初から最後までにこやかで、とてもいい雰囲気で検査して下さったので、私も安心して過ごすことが出来ました。ありがとうございました」
向田さんインタビュー
Q. 向田さん、2022年1月のMVP受賞おめでとうございます。非常にいいアンケートをいただいておりまして。先ほど共有させていただきましたが、レクチャー・セルフチェックのポイント、良い雰囲気というところが今回の要旨ですが、向田さんは、普段現地で対応される時、どういうところを意識されますか?
A. はい、建築士として現地に行くということで、専門家としての言葉を期待されているだろうと思いますが、正直に言いますと、あまり硬い雰囲気、難しいことはあまり好きではないので、できるだけ先ほど書いていただいたように、私なりにフランクに、気軽に接していただけるように、なるべく声かけしやすい雰囲気を作るよう、心がけております。
お会いして、その方の顔を見て今日はこんな感じ。あんな感じと想像し、修正しながら進めています。指摘すべき箇所はきちんとしなきゃいけないですけれども、指摘のしっぱなしはよろしくないと思っています。
もう一つは、これから長くこの方がこの家と付き合っていかれることを想像すると、メンテナンスもしていただきたいですし、建物に興味を持っていただきたいと思います。どう建物に興味を持っていただけそうかなというようなことも考えながら、できるだけ依頼者の方を巻き込んでいく。アンケートで紹介ありました「ここに立ってこうみたらあれが見えますね」と言った記憶がありますが、場面ごとの状況に応じ、その後の暮らし方を想像しながら、わかりやすく伝える工夫を心がけています。」
Q. ちなみに、その後、依頼者様が気にされているポイントをうまくあのキャッチアップされているのがよくわかります。向田さんが理解するために工夫していることや、必ず聞いている点、注意して見ている点とかありますか?
A. はい、実は個人の依頼者の場合八割ぐらい一緒に現場を見て回ることが多いです。事前連絡(前日までの電話連絡)時から、お時間許せば、たくさん情報を出せますし、とお声がけしております。以前はご案内していませんでしたが、できれば一緒に見てほしいと。一緒に回ってくると、私から一方的に話さないで、依頼者の方にもお話してもらうように雰囲気を作ります。そうすると、依頼者様からあれは?これはなんだろう?と言葉が出てきますね。そうすると、そのことに、対して少し紐解いて自分なりに説明をすると、依頼者の方がしゃべってくれるようになるので、キャッチボールが成立しているかもしれません。
Q. なるほど。向田さんが「調査開始します」と一人で黙々とやって、終わった後で報告します。ではなくて、依頼された方と一緒に回りながらアドバイスという形ですね。そういう進め方で、逆に課題点や困るところ、対応に悩むところはありますか?
A. はい、ありますね。床下に入るときは一人ですので、依頼者の方、お一人ポツンとお待たせする状況になります。また一緒に回られる際、何らかの事象が見つかると、依頼者様も「これは?」と答えを期待されます。事象によってはその場でコメントしすぎず、もう少し他の箇所も見て判断しないといけない場合もありますので、勇み足にならないように注意が必要です。無用にご不安を与えるのはよろしくないと思いますので、リスクをはらむ事象が見つかったとしても、不安を大きくしないような配慮をしつつ、適切に伝えなければならないと。一緒に回っていると、すべての準備することは難しいため、場面場面でいろんなことコメントしながら、いかに適切に伝えていくか、非常に悩むところがあります。
Q. なるほど。一緒に回っているが故の悩みかもしれないですね。ちなみにその報告書もたいへん評価されています。報告書を作るときにご自身工夫されているポイントはありますか?
家というのは一つとして同じものはない。ゆえに報告書は毎回一品生産
A. はい、報告書作成にはたいへん時間をかけて、提出ぎりぎりになることがあり謝らなきゃいけない状況ではありますが、一品生産を心がけ、前に使ったコメントをコピペでやっていけると効率的ではありますし、(繰り返し使うことの多いフレーズなど)用意していますが、先ほど申し上げたように、やっぱり一個一個の住宅は一つ一つが唯一無二。その住宅に対して一つの情報を提供するという気持ちからすると、報告書一つ一つが一品生産です。説明が多くなり、長くなる傾向がありますが、指摘だけで終わらないようにしています。一つの指摘すべき事象があったとき、当然特定はできないことが多いですが、可能性がある部分を含めて、できるだけ依頼者の方が読んで、イメージしやすく、次の対処に結びつけやすい、経過観察の具体的なポイントなど、先々につながることを一つ二つ付け加えていくようにしております。
今のポイントはとても重要だと思っています。報告書の記載内容は大半が専門的な要素を含んでいますので、ただ受け取っただけでは、「どう扱い・どう処理していく」か、一般の方には読み取れず、実用的ではない現状報告となってしまいます。
向田さんは今後の方針を意識して書いていただいているから、アンケートの「家を守るための地図」というお言葉をいただけたと思っています。報告書作成はご苦労かと思いますが、地図・羅針盤のような情報を、今後とも届けていただけますでしょうか。引き続きどうぞよろしくお願いします。
今後とも依頼者様、施工業者様、販売会社・売り主様、当社自身にとっても「調査してよかった」「安心して住める」ストーリーをお届けしてまいります。
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