「オカルト2.0」:書籍の紹介
オカルト2.0 西洋エゾテリスム史と霊性の民主化
竹下節子著 創元社
以前ご紹介したカバラとノストラダムスについての
論考の著作者である、竹下節子氏の新刊書籍です。
アカデミックな側面から見た「オカルト」についての本です。
学問的な見方といっても、現代フランスのスピリチュアル事情、
占いやセラピーなどがどのように社会の中にあるのか、
という具体的な事例が書かれており、
日本との差異を検証するのも興味深いと思います。
合理主義、カソリックのイメージが強いフランスでも霊感占いが
受け入れられているという事実、
タロット占いやセラピーも盛んの様です。意外でした。
欧州の占い学校はちゃんと免状を出してくれ、その卒業証書も有効だとか、
コンクールや推薦状もあるそうです。
日本で詳しく紹介されることが少なかった
18世紀に活躍した治療家メスメルについて詳しく記述されています。
メスメルは「動物磁気」を扱うエネルギー治療家でした。
手かざしや音響によって病気を治す能力を持っていたとのこと、
興味深かったのはメスメルがフランス革命と強い
関わりを持っていたことです。
パリの女性たちのヴェルサイユへの行進に付き添い、
かれらを治療していたとか。
貴族たちとも関りがあったため、革命に翻弄され
人生を変えることになっています。
この辺りの記述は非常にスリリングでした。
英国と比べるとオカルトとの親和性が少ないように見えたフランスですが、
精神世界の流行は日本と大きくは異なっていませんでした。
客観的な視点からスピリチュアリズム、オカルトの歴史を
知ることは目に見えない世界と付き合う上で必要なスタンスかと
思います。