見出し画像

作家と画家。〈エッセイ〉

原稿中ほど、Xをちょこちょこ覗いてしまう悪習。
ただ、その日はタイミングが抜群だった。
三島由紀夫 生誕100年を記念した
画家の横尾忠則さん×作家の平野啓一郎さんの
対談イベントの情報を、投稿1分後というはやさでキャッチ。
スペシャルなイベントに参加できることになった。

生前の三島を知る横尾さん、『三島由紀夫論』を書いた平野さん。
国語辞典ばりに分厚いその本は当日までに全然読みきれず
話についていけるだろうかといささか不安だったが、
心配は杞憂に終わり、横尾さんの奔放な三島エピソードに
涙を流して笑うという、なんとも不思議で
それでも最高に心満ち足りる時間となった。

三島と横尾さん。横尾さんと平野さん。
面白い、画家と作家のコントラスト。
横尾さんは「平野くんは、僕のことを大江健三郎だと
思って話しているんじゃないかと思うときがある」と笑い、
横尾さんの三島エピソードから、何かを考え言葉を
発しようとしていた平野さんに対し
「僕はね、そんなに深刻じゃないよ」とまた笑い、平野さんも笑う。

三島とは議論をしたことはなく、説教ばかりされていたという横尾さん。
説教が長くなると、絵を描くことを考えてエスケープしていたという。
呆れたふりで説教しながらも、さぞかし楽しく、どこか羨ましくもあったのだろうと
無遠慮にも三島の心のうちを想像してしまう。豊かだ。

こんな経験ができるから、ときに心荒みながらもX覗きはやめられない。

いいなと思ったら応援しよう!