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【イベントレポート】ナレッジ共有の仕組みづくりの失敗と学びを語ろう

こんにちは、マネーフォワードエックスカンパニーに所属するデザイナーの櫻井です。

突然ですが、皆さんは日頃得られた知見やナレッジを、どのようにチーム内で共有しているでしょうか?
マネーフォワードエックスのデザイナーはナレッジの蓄積と共有を日常的に行うため、さまざまな工夫を行なっています。
一方で、全ての取り組みをうまく運用出来ているわけではなく、失敗やつまづきも経験しています。

そんな経験や学びを共有するため、「ナレッジ共有の仕組みづくりの失敗と学びを語ろう」というテーマで実施したウェビナーのレポートをお届けします。



登壇者のご紹介

今回は、マネーフォワードエックスカンパニーの各本部で活躍するデザイナーのみなさんに、デザイナー間のナレッジ共有の取り組みについてそれぞれ語っていただきました。

佐々木 俊弥(ささき としや)
マネーフォワードエックスカンパニー 共創サービス本部 共創デザイン部 チーフサービスデザイナー。千葉工業大学大学院デザイン科学専攻修了後、2014年に新卒でプロダクトデザイン会社、2017年に株式会社マネーフォワードに入社。マネーフォワードエックスカンパニーにて、主にデザインコンサルティングやデザイン人材育成支援に従事。組織に合わせたデザインスキルの設定方法、ビジョン構想のための創造力の研究に取り組む。

遠藤 真緒(えんどう まお)
マネーフォワードエックスカンパニー 共創サービス本部 共創デザイン部 サービスデザイングループ サービスデザイナー。2020年4月に新卒採用で株式会社マネーフォワードに入社後、デザイン思考を軸とした企業のサービス開発・改善支援を行う。近年では、中小企業向けSaaSの現状分析・改善やUI改修など幅広いプロジェクトに従事。

増田 亜里紗(ますだ ありさ)
マネーフォワードエックスカンパニー 法人サービス本部 法人デザイン部 プロダクトデザイナー。大学卒業後、UIデザイナー兼フロントエンドエンジニアとして人材系Webサービスの設計に携わる。2022年に株式会社マネーフォワードに入社し、デザインシステムの構築・運用や中小企業向けサービスの設計に取り組む。

黄 キエイ(こう きえい)
マネーフォワードエックスカンパニー 個人サービス本部 個人デザイン部 プロダクトデザイナー。ウェブデザイナーやUIデザイナーなどの経験を経て、2021年2月に株式会社マネーフォワードにジョイン。個人サービス事業部の金融機関向けサービスのプロダクトデザイン、デザインシステム構築、デザインチームのマネジメント、若手の育成などを行う。

モデレーター
井村 塁(いむら るい)
マネーフォワードエックスカンパニー 共創サービス本部 共創デザイン部 部長。大阪芸術大学デザイン学部を卒業後、映像制作にアートディレクターとして携わり、グッドデザイン賞ベスト100を受賞したソリューションのリードデザイナー、保険関連会社を経てマネーフォワードにジョイン。エックスカンパニー共創事業のデザイン部マネージャーとして組織デザインやデザイン戦略などを策定。また自身もデザインコンサルタントとしてクライアントの課題解決に向き合う。HCD-net認定 人間中心設計専門家。

ウェビナーの様子


ナレッジ共有の仕組みづくりの失敗と学び

まず、サービスデザイナーの佐々木さんよりメイントピックである「ナレッジ共有の仕組みづくりの失敗と学び」について語っていただきました。

ナレッジ共有の仕組み 「デザイン勉強会」

エックスカンパニーには3つの本部がありますが、それぞれの本部を横断してデザイナーが集まり、隔月でデザイン勉強会を実施しています。

デザイン勉強会は以下の図のように、ナレッジが循環することを目指しています。

デザイン勉強会の運営メンバーが中心となり、日頃からナレッジを「ナレッジ集」(スプレッドシート)に蓄積して管理しています。

各部のデザイナーが毎月プロジェクトを振り返る「X Sharering Monthly」を実施し、そこで共有された各部のアウトプットから有用なナレッジをピックアップして運営メンバーがコンテンツ企画を行い、隔月でデザイン勉強会を実施する。
このような流れで進めることで、ナレッジが循環する環境をつくっています。

ナレッジ共有を推進する背景

ではなぜ、このような取り組みを通してナレッジ共有を推進するようになったのでしょうか。
その理由は、かつて佐々木さんが経験した失敗にありました。

「2021年当時は目の前の案件が最優先で、振り返ってナレッジを残すことができていませんでした。
メンバーも増えてくる中で、属人化が進み誰が何をやっているかを共有する機会がなく、相談したくても相談先がわからないという状況に危機感を募らせていきました。

そんな経験から、ナレッジ共有を自然と行い、それを活用できる仕組みづくりに本格的に取り組んでいくことになります。

ナレッジ共有への向き合い方の変化

失敗を経て、ナレッジ共有への向き合い方にも変化がありました。

2021年から、デザイナー間でのナレッジ共有の取り組みを小さくスタートさせました。
この頃、佐々木さんは個人的なデザイン研究の活動を通してデザインの知見を社内外に共有することで貢献したいという思いが強まっていきました

その後2022年〜2023年にかけてUXデザインの取り組みを「デザイン人材育成支援事業」のためにプログラム化したり、これまで行ってきたナレッジ共有会をデザイン勉強会として統合するなどの取り組みを経て、徐々に各メンバーのナレッジ共有への意識も高まっていきました。

デザイン人材育成支援事業とは
金融機関を中心としたパートナー企業のデザインの活用を支援する取り組みです。詳しくは以下の記事をご覧ください。

ナレッジ共有を促す工夫

年々活発になっていったナレッジ共有ですが、共有のハードルが高すぎると忙しい中続けることは難しくなるという課題がありました。

そこで、現在は次のような工夫を行っています。

  • プロジェクトのナレッジを共有するためのテンプレートを用意し、なるべく短時間で準備できるようにする

  • 各メンバーが言語化したナレッジをナレッジ集に集約する

  • Slack上で有用なナレッジが投稿された際に、絵文字を押してカンパニー全体のチャンネルに共有する

今後の課題

一方で、実はまだナレッジを集約している場所が分からない、探すのが面倒と感じているメンバーもいることが分かりました。

いまだメンバーにナレッジが集約された場所が浸透していなかった点に関しては、失敗と言えるかもしれません。

しかし、メンバーからSlackのボットチャンネルを作るというアイデアが挙がったりと、それぞれがナレッジ共有をより活性化するために工夫しようというマインドを持てているのは、成功と言えるのではないでしょうか。

佐々木さんは締めくくりに、今後もメンバーみんなでより良いナレッジ共有の仕組みにしていきたい、と意気込みを語ってくださいました。


トークセッション

トークセッションのパートでは、3つのテーマを設けて登壇メンバー同士でディスカッションしました。簡単に、それぞれのテーマでどんな内容が話されたのかご紹介します。

【1】印象に残っているデザイン勉強会コンテンツ

黄:印象に残っているのは、「デザイン勉強会の1年振り返り」と「ナレッジ活用のビジョンを考えるWS」です。

「デザイン勉強会の1年振り返り」では、この1年でナレッジがどのくらい貯まったのか数字で見える化したり、ナレッジを多く残した人を称える賞を授与したりと1年でナレッジ共有がさらに加速したことを実感しました。

「ナレッジ活用のビジョンを考えるWS」は、これからさらにナレッジを活用していくためのビジョンを考えるワークショップです。少人数のチームごとに、どうしたらナレッジをより活用できるのか、ナレッジ活用における目指すべきビジョンを考えました

これまでの振り返りと未来の展望を考えることができ、この2つは特に印象に残っています。

増田:私は当日別予定がありナレッジ活用のビジョンを考えるWSには参加できなかったのですが、あとから録画やmiroを見返していると皆さんとても楽しそうにやっていたので私も参加したかったですね(笑)

デザイン勉強会の振り返りと、ナレッジ活用のビジョンを考えるWS


【2】デザイン勉強会の運営で苦労したこと / 工夫したこと

増田:難しかったのは、ナレッジを自分ごと化することです。
デザイン勉強会はナレッジを発表してくれる人がいて、発表者以外は聞いているだけになりがちです。
ただ聞いているだけだと、分かったようで分かっていない、あまり自分の中に定着していないことがよくあるなと思っていました。

いかに自分ごと化してもらうかという課題を解決するため、デザイン勉強会の最後にチームに分かれて、学びになったことや自分のプロジェクトに活用できそうなナレッジをシェアする時間を設けています。

振り返りの様子

黄:自分はこのパートがとても好きですね。やはりナレッジを聞いて終わってしまうと流れて忘れたりしてしまうので。他のメンバーの様々な視点からの意見を聞いたり、自分ももう一度アウトプットすると、より理解が深まる気がします。

増田:役に立っているとのことで嬉しいです!


【3】デザイン勉強会の今後の展望

遠藤:今後の展望としては、今よりもちゃんと過去のナレッジの整理と活用を行っていきたいという想いがあります。

黄さんが紹介していた「ナレッジ共有のビジョンを考えるWS」の中で、「手軽かつ楽にナレッジをまとめられ、共有できる世界をつくる」というビジョンがまとまりました。
そのビジョンを実現するためにも、今運用しているスプレッドシートでのナレッジ集をアップデートしていきたいです。今は結構手作業で収集しているので…。

業務が立て込んでいると後回しになってしまうという課題が出てきたので、できる限り手間なく更新するため他の外部ツールを使う、もしくは社内のポータルサイトを作ってみてもいいかも、と思っています。

井村:新入社員のオンボーディングサイトのように、困ったときは見に行って情報を取得できるサイトがあると役に立ちそうですね。

増田:確かに。あと最近デザイン部のメンバーがチャットボットを作ってくれましたね。単語や文章を入れると、それに関連した活用できそうなナレッジを教えてくれるのでとても便利です。

黄:ナレッジシェアをとても重視している環境だなと思いますね。日々、Slackやmiroにナレッジになりそうなコメントがあったら「ナレッジチャンス」という絵文字を押したり(笑)デザイン勉強会など、色んなところでナレッジ共有を盛り上げようという雰囲気があります。

井村:義務になると辛いので、ゲーム的な要素も必要ですよね。楽しさ、マネーフォワードのカルチャーでもあるFunの文化があると長く続けることができるし、他の人から見ても「面白いことやってるな」という印象があり、仲間を増やしやすいというのもありますね。

さいごに

「ナレッジ共有の失敗と学びを語ろう」と題しウェビナーを開催しましたが、最終的に60名近い方が参加してくださりこのテーマへ関心の高さが伺えました。

日々忙しく業務に取り組む中、ナレッジ共有と活用をチームに根付かせるのは簡単なことではありません。ただ、ナレッジを共有してくれた人を称賛したり、学びを還元する仕組みを作ったりと工夫を凝らすことで楽しくナレッジを循環させることができるのではないでしょうか?

私たちのチームでも、ナレッジ共有の仕組みの運用はいまだ完璧ではなく試行錯誤を続けているテーマです。今回お話しした失敗と学びの内容が少しでも参考になれば嬉しいです!


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