Pat MethenyのJamesイントロ問題
竹内まりやとPat Metheny
Pat MethenyのJamesっていう曲がありますね。「OFFRAMP」収録の名曲名演です。初めて買ったECM作品かもしれない。18のころだった。AメロのDM7 GM7以外はマジでなんもわからんかったけども、めっちゃ好きでめっちゃ聞いてました。そういえばこれAメロの最初のところだけ竹内まりや「元気を出して」がそのまま歌えるんですよね。
Jamesのイントロ
それはいいとして、James。この曲にイントロがついてましてこれがまた素晴らしい。でも何をやってるかよくわからない。どうなっているのか?そしてどうやったらこういうものを思いつけるのか?気になってしょうがないので頑張って音をとったり考えたりしてみました。
こうなってる(たぶん)
最近ギターを練習してるので、ギターでも演奏可能なボイシングにしてみました。深い意味はありません。
とりあえず結論を簡潔にまず説明すると
ベースが下がっていく半音進行
アッパーの和声は基本的にツーファイブ由来と考えることができる
Gメジャーで始まるのにDに行く
でもどうなってるの?
いやどうなんですかこれ。最初意味わからず音をとっててなんとなくこんな感じっぽいってとこまではきたんですけど、書いたものを見ても自分でよくわからなかった。とくに最初のコードなんなの?どういう意味なの!っていう。
なんだこのI#ルートの謎のハーモニーは?
僕がそう思ったのもいくつか理由があってそれも説明しようかなと思います。まずこの曲はDメジャーなんですよね。なので最初のB7alt/D#みたいなコードはVI7/I#ということになるわけです。あくまでDがトニックのIだという視点で言うと、ですよ。それで、でもなんなんだそれは?と。
実はGメジャー
で、よくよく考えてみるとイントロはメロディがGメジャーでしたね、はは。最初気づかなくて「なんでメロがCナチュラルから落ちてくるんだろう?しかも7bの音にも聞こえないのはなんでだ!?」ってイノセントにずっと思ってました。「原キー(の音)を出して」。やかましい。でもほんまそうです。さておき、そんなわけなのでディグリーをGメジャーで書くと上記のようになる、というわけです。
なーんだあ!III7の第一転回形から始まる連続するツーファイブを利用した下降型のクロマチック進行か。むちゃくちゃあたりまえの簡単なやつじゃねーか。こんなのわからないやついるの?
います。私です。まあ譲って、よしとしましょう。ツーファイブってのは、必ず降下する半音進行を含んでいるので、ツーファイブがあれば下がる半音進行のラインを作れるし、逆もまたしかりです。下がる半音進行があればかならずツーファイブ(の転回形)を当てはめることができる。
いま思いつきで初心者向けコード進行Tipsみたいな部分に関してこの記事では全部太字にしてみようと思います。中級以上の方は太字を見たら読み飛ばしてもいいでしょう。
で、あてはめかた。具体的にはいくつかのやり方があるんですが、長くなるんでひとまずやめます。あとで書こうかな。これわかってる方には当たり前すぎて今更何をの話なんですが、知らなかったお得なので考えてみてください。
よくわかんないので音で聞いてみよう
以下解説していきます。
1.まずは素朴にツーファイブをあててみる
一行目、例えばこうですね。よくあるVIIのハーフディミニッシュからひたすらツーファイブを経由してトニックのIまでたどり着くやつ。最初のF#m7-5 B7はまとめて全体でB7と捉えてもいいと思いますけどひとまずこれです。でもこの進行には大きな問題がありますね。それはベースとメロディの音がカブっててダサいということです。被りまくってます。これは後で解決します。
ここで大事なのは
連続するツーファイブからクロマチックラインを取り出す
そのラインを低音部にする形で転回形にする
それ以外の音を適当に調整する
で、こうなる
ベースとメロディが被っててダサい問題も解決されています。そしてなにより低音部の流れが美しい。
2.トライアドを当てはめてみる
二行目、まあこうですか。素朴でいいんじゃないでしょうか。でもなんかAがGメジャーにおけるIIなのかDメジャーにおけるVなのかよくわかりませんね。ひとつめのDがもうなんかトニックっぽくはあるんで、Aの役割の読み替えとしてはこれでも大丈夫なんですがもう一工夫欲しい。FのところはD¥メジャーがDマイナーになったことが示せればなんでもいいと思うので、コードもDmでもいいと思います。とりあえずね。
ペダルポイントにしてみる
ペダルにするとAという根音がドミナントっぽく振る舞うことがよりわかりやすい。ペダルってなに?って方はググってみましょう。めっちゃ便利でおもしろいので。
さらに、さっきはやや唐突だったFM7というモーダルインターチェンジっぽい謎の響きが「Aペダルの上でいろいろやりますコーナーの一環」としてパッケージされる感じになりますね。
一応最後にAメロ
Aメロの入りにもシンプルな1456進行をあててみましょう。いいんじゃないでしょうか。
ちょっと変えてみるとこうなりますかね。Aの第一転回形が地味ながらかなりオシャレかも。
おまけ
ツーファイブの転回形と低音部の半音進行の話
初心者向けコーナーです。
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