成人未満の備忘録

私は今月末に18歳になる。成人。
成人=大人ではないと思うし、ただちょっと色々なことが出来るようになるだけなのも分かっているのだけれど、成人=大人だとこれまでずっと思ってきたせいで、まだ成人になる覚悟が出来ていない。

要するに、私は大人になるのが怖い。


歳を重ねることに対して、期待ではなく不安を抱くようになったのはいつからだろう？


高校3年になってから続々と友人が成人を迎える中で、自分が成人することへの抵抗を感じる。

何故？と思われるかもしれない。
大人は自由だよ〜！と言われたこともある。
だから、だ。
その自由さが怖いのかもしれない。


自分の言動に責任を持つこと。家賃や光熱費を自分の稼いだお金で払うようになること。これまで親がしてくれていたことを全て自分がすること。
それもある。

でもただ、漠然と、何故か、自由が怖い。
何か困ったことがあったとき、誰に頼ればいいのだろう？誰かに助けを求められた時、私はどうすればいいのだろう？そもそも、誰かの手助けをできるような行動をすることは出来るのだろうか？

学校では、子供に制限を掛けている大人が絶対的。
裏を返せば、全ての責任は大人が持っている。
何かあれば大人に縋ればいい。
何かあっても大人が守ってくれる。

そう思うと、学校という箱庭は安心感すら覚える。
そんな学校を卒業してしまうと、学校というフィルターが社会から守ってくれていたのに、それが、なくなって、社会の波に放り出される。
私はきっとその重さに耐えられないのだろう。


大人に期待と希望を抱いてしまうから。
大人になって成長した自分はきっと輝いていて、自分のことを愛していて、世の中を達観していて、誰かを愛し愛される世界で生きているのだと、心のどこかでずっと信じていたいから。

これまで、色々な大人を見た。
死ね！カス！と暴言を吐き散らしては笑い合うコーチたち、感情に任せて私に理不尽に数時間説教を続ける顧問、滅多に怒らない先生が仕事の忙しさに机を蹴る瞬間、誰もいない場所で幼い私を怒鳴りつけた独身女性、自分の利益のために他人を陥れる人、「お前には無理だ」と吐き捨てる教師、卑しい目をするおじさん、私の参考書を捨てた父親、宗教にハマってしまった母親。

だからなんだ、って話なんだけど、
これまで私にとって大人は完璧だった。
求めた答えが返ってきて、私の知りたいことを一緒に考えてくれて、知識と希望と優しさに溢れるのが私にとっての大人だった。

でもそんなことはなかった。
汚い大人を見すぎてしまった。
人の性として感情に任せた行動を取ってしまうのは仕方ないのかもしれない。
それでも私は、思っていた大人の像が崩れていくのを感じてしまってから、尊敬できる大人が今はいないと感じてしまってから、大人が怖くなった。

今はまだ「大人」と「子供」で言うと「子供」のジャンルに振り分けられているけれど、大人になってしまって、自分が「大人」のジャンルに振り分けられてしまうのがすごく怖い。
みんなが皆同じ大人ではないと分かっているのに、1部の大人を見たせいで、大人のグループに入るのが怖い。
反面教師としてそうならなければいい話だけれど、そうならないという確信も心の強さもない。

最近は、不思議なことがたくさんある。
なぜ人は生まれたのか？神は本当にいるのか？
神がいたから信じたのか、信じたい対象が欲しくて作り上げた偶像が神になったのか？
死んだらどうなるのだろう？人は忘れられた時に本当に死ぬのかもしれない。
人は等しく生まれたのに、どうしてこんなに世の中は汚いもので溢れているのか？
心はどこにあるのか？愛ってなんなの？どうして人は孤独になると死んでしまうの？

こんなことを悶々と考える日々。
受験勉強に集中すべきなんですけどね、はい。
受験トークと題して、内職厳禁を掲げながら永遠と同じ話を繰り返す、私の名前を一生間違え続ける教師の話を聞きながら考える。


何人かの大人にいくつか疑問を尋ねたことがある。
納得のいく答えは1度として返ってこなかった。
「え、どういうこと？」「ネットで調べてください」で終わらせるような大人にはなりたくないし、
そもそも分からないことだらけのまま世の中を引っ張っていく大人の仲間入りをするのは嫌。怖い。

私と同じ思いを抱える高校生はいるのだろうか。
少なくとも身近にはいない。
いて欲しいとかいて欲しくないとか、そんな次元にいないのでまあなんでもいいんだけどね。
1人くらいいて欲しい。いるだろ、いろ。

成人と言いながら、大人と子供の間にいる18歳ならではの葛藤なのかもしれない。そう信じたい。


守ってくれる大人が欲しいと言う甘え。
こんな大人になりたくないという憎悪。
責任を持ちたくないという逃げ。

「何かあったらこの人に聞けばいい」という頼れる大人がいないまま、「こんな人になりたい」という理想の大人がいないまま、自分の中の葛藤が晴れないまま、成人を迎えるのが怖い。

大人になるのが怖い。

この気持ちを抱えたまま成人するのだろうか。
この気持ちが変わらぬまま20歳になるのだろうか。
この気持ちを忘れた時には、大人になっているのだろうか。

私が今思っていること、みんなみんな、大人になるにつれて忘れるのかな