11月「カランコエの想い」⑤
私が彼の事故のことを知ったのは勤務中、彼の姉が取り乱している姿を見かけたからだ。普段は仕事が忙しく滅多に会えない彼女の、初めて見る尋常じゃないその姿に、否応なく鼓動が波打つ。導かれるようにして歩いたその先には重症患者が救急で運び込まれた騒然とした現場、数人の看護師と処置室から持ち出される血だらけのガーゼ、運び込まれる輸血パック、顔面蒼白で立ち尽くしている姉・・・これは本当に現実なのだろうか、と思えば思うほど、足元が崩れ落ちていくような感覚に襲われた。その時、ぐっと私の手を引