言葉にならない・・「空の青さを知る人よ」

イントロで「あいたいよ」と連呼している楽器はなんなのだろうか?
擦る系の、例えばギロみたいなものなのか、シンセの合成音なのか。

あえて歌詞に「あいたいよ」と入れなかったのは、それこそ「言葉にできない心の叫び」だからなんだろうな、と思う。

「今でも会いたいよ」と言葉にできるなら、その傷はそんなに大きくない。
傷の大きさと、相手への関係性は必ずしも比例するものではなくて、カッターで指先を切ったような、ちいさなちいさな関係しかなかったものが、いつまでも痛んで、心を大きく切り裂く傷になったりする。

この曲は、「キャラメル味」だけど、キスしてたりするんだから、普通に付き合ってた相手へのレクイエムなんだろう。
普通に付き合っていたけれど、付き合ってる時には何か噛み合わなくて、本当にこいつのことが好きなのかな?と自問するくらい、イマイチしっくりしない関係で、相手が時々理解できなくて、相手が好きだったホラー映画も趣味じゃないし、僕のことを呼ぶ愛称も、なんか真剣味が感じられないし。

自然消滅みたいな感じで別れてしまったんじゃないかと思う。

そして、「あれ?お前なら知ってると思ってた!あいつさ、、、」と、数年後、友人越しに訃報を聞いた、そんなシチュエーションが思い浮かぶ。

「え、そうなんだ、いや、もう別れてしばらく経つしさ、全然連絡してなかったから、知らなかったよ。そうなんだ、、、」
「僕」が大ショックを受けるかと思っていた友人は、その反応の薄さに拍子抜けしていたりするのだろう。
暗い話題はすぐ切り替えられて、他愛もない馬鹿話に取って代わられて、多分酒も入って、おひらきになって

一人になって「僕」は、自分が「暗すぎて何も見えない」落とし穴の中にハマってることに気がつく。
「どうってことない」はずだった、「あいつ」が「いない」ことが、
事実として突きつけられた途端に、とんでもなく暗い混沌に「僕」を追い込む。

どうしようもない大きな思いになって自分を打ちのめしにくる。

あいつは
いつもいつも勝手に「僕」を振り回して、いつもいつも勝手に「いなくなる」

だから、「いない」ことになんか、慣れているはずなのに。

今になって思う。
あの時に「君」が見ていた「空の青さ」を、なぜ知りたいと思わなかったのか。
今、僕は、君の見ていた「空の青さ」を、本当に、知りたいのに。
僕の見ている空と、君の見ていた空は、同じ色をしているのか。
知るすべは、もはや、ない。

僕の声はもう届かないから、だから叫ぶ。

「届け」

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