かぎりなく優しい”死の匂い” sakuragikaku 2022年8月7日 00:10 なんという矛盾だろうか。楽曲のタイトルの「双葉」といえば、芽吹きだし、春だし、生命力である。であるが、この曲を歌っているのは、死の匂いに包まれた、おそらくは父親である。『双葉』とは固有名詞であるのか、上のメタファーのようなキラキラしい存在ということの表現であるのか。おそらくは「彼」の娘であり、「彼」は、彼女に向けて語りかけている。「サヨナラが近づいている」男女の甘酸っぱい別れのようにも取れるが、「君も大人になったら恋をするんだよ」というサビでそれは否定される。「君」は、まだ大人ではない。多分恋を知らない。でも、この歌を歌っている「彼」は恋をしてきた。そして、それは成就した。「運命の人に出会うまでは傷が絶えないかもだけど」と語れるということは、運命の人との出会いを知っているということだ。そして、その上で、「彼」は「君」と出会った。「君」は、泣きべその顔でキスしてくれて、一緒に笑った。赤ん坊を抱き上げてキスされて、泣かれて、笑っている。父親の姿だ。「八の字に曲がった君の眉」はまるで赤ん坊の時と一緒だ。場面は病室なんだろう。「君」は、赤ん坊の時と同じように泣いているんだろう。それを見て「彼」が感じるのは、懐かしさだ。赤ん坊の頃の「君」に、色々話した。いろんなことを教えた。「君」はずいぶん大きくなった。でもまだ子供だ。「大人になったら見つけるその夢を」「限りなく側で見ていたくても」「もう叶わないらしいからさ」でも、忘れないで。「君の夢の中に遊びに行くからね」「心の傷も酷い言葉も受け止めてあげるぞ」「悲しみなんかは 気づけば雨になる」僕がいなくなることは、そんなに大したことじゃない。「可愛く揺れなよ 『双葉』」「彼」は「君」の未来を信じている。きっと、大丈夫。 #あいみょん #双葉 この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか? サポート