今・未来・過去・・・「青春と青春と青春」

のんびりとした青春ラブソング。
しかし、この歌の不思議なところは、この「青春」が、いつのことなのか曖昧模糊になっているところだ。

「恋をした夢を見た」
この言葉は、オーディエンスの現実でいかようにも解釈できる。
今現在、青春を謳歌し、恋をしている人には「夢のような恋をしている」意味になり、まだ恋が始まっていない人には、酸っぱく、じれったい「夢」を見た意味になり、恋を夢見る人にとっては「いつか来るであろう素敵な恋」の夢となる。

でも、この歌が一番胸にくるオーディエンスは、「夢を見終わってしまった人」だろう。
あの日、あの夏、確かに恋をした。その「夢」を見てしまった。

この歌が「青春」で終わらず「青春と青春と青春」というタイトルなのは、そういうことだろう。

「夢を見ていた」
それはもう取り返しがつかない、遠い遠い過去のこと。
妄想と現実が入り乱れ、何より「あったかもしれない未来」「自分が失った可能性」が、その夢の中でだけ、光を放っている。

目が覚めなければ、「夢を見た」ことに気がつかない。
目が覚めなければその夢が「素敵な夢」だったことがわからない。
しかし、目が覚めれば、その夢は永遠に失われる。

「夢は終わる」
「夢を見た=目が覚めた」人たちは、この曲に、その寂しさを胸に刻み込まれるのだ。


ひょっとすると、ノースリーブとポニーテールのあの子は、今は隣で、伸びたパンツとおばさんパーマで、屁をこきながら寝てるかもしれないけれど、

それが多分、一番素敵な「夢の終わり」なのだ。

歌詞はこちら
https://g.co/kgs/vPxsPJ

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