希望と現実
私は今日夢を諦めた。
世間から見たら大したことのない夢かもしれないが、私にとっては生きる希望とも言える大きな夢だった。
そう、アイドルになりたいという夢だった。
アイドルを好きになったのは約10年前。AKBの影響だった。
キラキラして、可愛くて、誰よりも輝いてた彼女達に憧れを持った。私の世代だとそういった人も多いのではないだろうか。
それからは様々なアイドルを追いかけて、好きになって、また憧れて、その繰り返しが私の青春だった。
中学生、高校生の時期には多くのオーディションがあった。
しかし私は応募しなかった。
いや、応募出来なかった。
アイドルになりたいと思っていたのにだ。
単純に親に言えなかった。夢をバカにされるのではないか、叶いっこないと言われるのではないか、それが怖かった。
今ではアイドルが好きと言って良い感じに認められる世の中だが、私が中学生のときはアイドルが好き=キモイと言った価値観が存在していた。
自分の夢が否定されることで、アイドルを今後好きになれなくなってしまうのが嫌だった。
怖かった。
そして、気づいたら大学生になっていた。
オーディションを受けたことがある人なら分かると思うが、アイドルのオーディションには年齢制限がある。
20歳としている所が多い。
つまり、私の夢の期限は大学2年生までだった。
大学生になりお金に猶予ができ、一人暮らしだったため親にバレずに応募出来ることから、様々なオーディションに応募した。
結果はほとんど書類落ち、唯一書類が通ったオーディションも三次審査で落ちてしまった。
若さの強さを知った。早めに受けとけばと心底思った。若い内は若さの強さなんて分からないけど、最強でどうやっても取り戻せないものだと今になって理解した。
もう、どうしようもなかった。受けれなくなるのだから。後悔は沢山ある。
悲しいことに、今新たに加入するアイドルはほとんどが年下で、自分が叶えられなかった夢を年下に叶えられている現実がキツかった。
高校で可愛いとちやほやされてしまっていたから、大学生でも合格出来ると鷹を括っていた自分がバカみたいだった。
可愛い子なんでこの世に大量にいて、その中で個性やビジュアルで勝ち進めていかなきゃいけないのに、何もせず甘えてばかりで、自分は可愛いからと思っていたことがあほらしい。
夢を叶えるためには、早めに動くこと、何より自分を甘やかさないことが大切だと身をもって感じた。
今後オーディションを受けることはないと思う。というか受けれないのだが。
本気でなりたかった。
だから、アイドルが不祥事を起こすと悔しく感じでしまう笑 自分だったら起こさないのにと。
今は夢なんてないけれど、アイドルになっていたら過ごせていないであろう大学生活を楽しんでいきたい。
まだ、アイドルの映像は見れない。