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再往が妖 二話「これが反骨精神?」

本編


①〇アパートの一室、風太の部屋(ワンルーム)
 ・洋太、目を開け、上体を起こす
 ・風太、服を着ている最中
風斗「起きたか?」
洋太「ここは?」
風太「俺の家だ。今日から二人でシェアハウスだと。(ぶつぶつと)なんでガキと」

<一話、振り返る>
・風太に助けられたシーン
・洋太が妖怪化したシーン
・思い出を消したシーン
<振り返り終わり>

 ・洋太、ハッとして悲しい表情をする
風太「俺は今から勤務だから、そこにある握り食え。あと、今日からお前学校に行くことになってるから」
洋太「(真顔で)えっ、どこにあるか知らないんだけど」
風太「それなら大丈夫…(不安そうに)だと思う。いってくるわ」

 ・風太、玄関に向かっていく
 ・風太、玄関から大声で叫ぶ
風太「あ、くれぐれも人間と一緒に暮らしてたっていうのは言うなよ」

 ・洋太、おにぎりを手に取る
 ・おにぎり、ぽろぽろと形が崩れる
洋太M『母ちゃんのおにぎりと全然違う』

 ・洋太、ハッとして頭を左右にブンブン振る
 ・呼び出し鈴が鳴る
 ・洋太、玄関へ行きドアを開ける

②〇アパート、玄関外
 ・清羅、胡坐をかいて肉まんを食べてる
 ・海斗、清羅の後ろに隠れている

③〇通学路
 ・清羅、倒立しながら進んでいる
 ・海斗、洋太に背を向け後ろ歩きしている
海斗「僕は海斗で、この子は清羅。僕たちは幼馴染で」
清羅「海斗はシスコン。お姉の後ろにいつも隠れてるんよ」
洋太「わっ、喋った」
清羅「清羅は超絶格闘家。最近は肉団子伯爵を拳でやった」
洋太「誰それ?」
海斗「妄想だから気にしないで。…..学校どこだろう?」
洋太「前向けば?」
清羅「海斗は人見知りだから、洋太の方を向けない。清羅に着いてこい」
洋太「…あれが学校ならさっきよりも遠ざかってるんだけど」
清羅「(ニヤッと)清羅ってさ正義なんよ」


④〇同(休み時間)
 ・生徒たち、洋太の机に集まっている
洋太M『結局1時間遅刻したじゃねえか。あいつらなんなんだ』
少女A「洋太君! よろしくね」
洋太M『妖人って言っても普通なんだな』
洋太「あ、うん」
少女A「ねえ妖怪化したことある?」
洋太「え?(歯切れ悪い感じで)あーー、うん。一回?」

 ・「すごい」と歓声が上がる
少女B「この学年だと総隊長の息子大神君だけだよ!洋太君すごいね」 
 ・洋太、嬉しそうにする
 
 ・大神嗣巳、取り巻きA、Bと共に洋太に近付く
嗣巳「(馬鹿にしたように)君たち、妖怪化に興味があるのはいいが、まずは基本的な事を聞こうよ。どこの小学校から来たの?」
洋太「仁保小だよ」
少年C「え、仁保市って人間が住んでるとこじゃない?」

 ・洋太、手で口を覆う
洋太「やっべ」
少年A「え、やっべって言った」
少女A「じゃあ本当ってこと?」
嗣巳「(笑いながら)もしかして君って人間と一緒にいたの? あんな下等生物と一緒だったなんて君自身も下等なんだろうね」
取巻きB「あーー言われれば、人間臭いわ」

 ・江川、教室に入ってくる
江川「みんな席つけ」
 ・生徒たち、くすくす笑っている
 ・洋太、呆気にとられて拳を握って俯いている


⑤〇道場
 ・洋太と嗣巳、柔道着を着て組手をしている
 ・洋太、嗣巳に投げられる
 ・みんなに嘲笑される
嗣巳「見ろよ、こいつ体術の一つも知らないよ」
取巻きA「ほんとは人間なんじゃねえの?」
取巻きB「じゃあ妖怪化したのも嘘なんしょ?」
生徒たち「「「「「嘘つき」」」」」

 ・洋太、口をぐっと紡いで黙っている
洋太M『俺はこれからは強くなるって決めたんだ。こんなのなんてことない』


⑥〇学校裏(放課後)
 ・洋太、ごみ袋を持って歩いている
 ・嗣巳と取巻きA,B、洋太の後ろから近づく
 ・取巻きA、洋太を背後から蹴る
 ・洋太、前に転ぶ
取巻きA「こんなとこに人間がいるぞ」
洋太「なにすんだよ」
取巻きB「人間退治だ!! おりゃ」

 ・洋太、取り巻きA、Bに交互に蹴られる
 ・嗣巳、笑ってみている
 ・洋太、地面にうずくまっている
洋太M『母ちゃん、父ちゃん』

 ・ビー―っという警報音1が鳴る
洋太「何だ?」
嗣巳「そっか、下等生物に教えてやるよ。これは市街地で事件が発生したっていう警報音。敵の妖気に応じて警報音が変わる。この音は弱小。ポイントは2点ってとこだな」
洋太「ポイント?」
嗣巳「捕獲した妖人の強さに応じてポイントを貰える。そのポイントで隊への年間配給金額が決まる」

 ・警報音1、鳴る続けている
 ・警報音2(爆音)が鳴る
嗣巳「これは強い妖人。ポイントは20点だな」

 ・警報音2、すぐに消える
 ・警報音1、鳴り続けている
嗣巳「(馬鹿にした様子で)二点じゃ誰も向かわないな。労力とリターンが見合わないもん」

 ・警報音1、鳴り響いている
嗣巳「うっせえなあ」
洋太「(怒った様子で)なんだよそれ」

 ・洋太、妖怪化(目が赤くなる)する
嗣巳「おい、こいつ…」

 ・洋太、嗣巳を上に殴り上げる
 ・嗣巳、空に5Mほど浮く
 ・八田(隊長)、一瞬でその場に来る
 ・八田(ヤマタノオロチの姿)、洋太を締め付けて捕えている
八田「悪意に満ちた強大な妖気に引き寄せられてきたが、子供とは」

取巻きAM『隊長が一瞬で飛んでくるレベルってことなのか。こいつは一体』

八田「子供の喧嘩なら見逃すが、総隊長のご子息に手を出したのは流石にな」

⑦〇総隊長の部屋、中
 ・大神三郎左衛門、窓際の花にじょうろで水をあげている
 ・風斗、頭を下げる
風斗「すんませんでした」
大神「息子を殴ったことか? どうでもいい。弱いやつには興味がないからな」
風斗「…それならご用件は?」
風斗M『なんで俺が謝んなきゃいけないんだよ。ってか総隊長を生で初めて見た。でかくて威圧感やべぇな』

 ・大神、じょうろを床に置き、椅子に座る
大神「そこの坊主が人間の肩を持つような思考をしていると聞いてな。坊主、なぜ私たちのような高等な妖人が弱い人間を守らなくてはいけないと思う?」
洋太「…みんなの生活を守るため。この力で、みんなが笑顔で幸せに生きれるようにするためだと思う」
大神「っふ、くだらんな」
風斗「…(怒って)総隊長、馬鹿にするのは絶対違うっす」
大神「理由なんて莫大な軍事金以外あるわけないだろう。私は人間との融和なんてまっぴらごめんだ。君も知ってるだろう。妖人にとっては力がすべて。強いものの言うことは絶対で正義だ」

 ・シーンとした空間が広がる
洋太「よく分かった。お前みたいなやつが上にいるから悪いんだ。一番強いやつが偉いなら俺が一番強くなればいい。そんで腐った考え方を変えてやる」

 ・大神、頬杖をついて洋太を見ている

⑧〇道(夕方)
 ・風斗と洋太、歩いている
風斗「お前ほんと。洋太、一時の感情に飲まれてはいけないし、仲間に対して暴力はダメだ!」
洋太「あんなやつ仲間じゃねえ。それに風斗だって」
風斗「ふうと? さんだろ」

 ・洋太、罰が悪そうにそっぽむく
洋太「…とにかく強くなりたいんだ、俺は。どうすれば」
風斗「まずは自分について知れ。お前はほぼ確実にぬらりひょんだ」
洋太「ぬらりひょんってあの頭でっかちな?」
風斗「あれは空想上のイメージだ」
洋太「(嬉しそうに)良かった」

 ・風斗、咳払いする
風斗「ぬらりひょんは珍しいから調べるのに時間がかかったが、能力の核は”乗っ取り”らしい。精神攻撃がメインで、体が強化されるとか火を出すとかみたいのは一切ないらしい」
洋太「……弱くね。でも俺、さっきのパンチ結構強かったけど」
風斗「あー、妖怪化すると通常状態よりちょっと強化されるっていうみんななるやつだと思うよ」
洋太「(叫びながら)やだ! 俺弱いじゃん」
 ・洋太、地団駄を踏む

風斗「うるさい! だから基礎が大事なんだ。精神と体を鍛える、これに尽きる。特に精神は強くなるほど、相手の心を乗っ取りやすくなるらしい」
洋太「精神を強くって」

 ・風斗、洋太のおでこを小突く
風斗「こういうことでいちいち落ち込んだり、怒ったりいてるようじゃダメなんだよ。漫画とかでも強いやつって冷静な感じだろ?」
洋太「確かに。(ブツブツと)とにかく強くなれば、冷静になってそれでもっと強くなって…(覚悟したように)分かった俺、頑張ればいいんだ!」
風斗「…まあ、そうだな」


⑨〇風太の部屋(朝5時頃)
 ・洋太、着替えている
 ・風太、起きて目を擦る
風太「何してる? まだ5時だぞ」
洋太「(うきうきと)これから毎日鍛錬すんだ」

 ・洋太、風太の目の前に紙を出す
 ・風斗、紙の内容を声に出して読む
風斗「腹筋、背筋、スクワット1000回ずつ、ランニング20キロ」

 ・洋太、得意げに笑う
 ・風斗、ため息をついて洋太の頭に手を置く
風斗「(かったるそうに)俺も付き合う」
洋太「(嬉しそうに)まじ? ありがとう、風斗にい」

 ・風斗、赤面する
風斗「(恥ずかしそうに)なんだその呼び方?」
洋太「だって呼び捨てすんなって言ったじゃん。ダメ?」
風斗「(捻りだすように)勝手にしろ」


⑩〇山(日の出頃)
 ・洋太と風斗、横に並んで走っている
 ・洋太、徐々に大人になっていく
 ・洋太、小太りからスラっとした体格になっていく
 ・二人で走っていたのが、洋太一人になる


5年後
⑪〇通学路(朝)
 ・海斗と清羅、立っている
 ・洋太、走って駆け寄る
 ・3人とも制服
海斗「洋太、あの日から本当に毎日鍛錬してたよね。すごいよ」
洋太「強くなるためには当然のことだ」
清羅「(ニヤニヤと)素直じゃないんだから」

 ・洋太、風斗とすれ違う
 ・風斗、鋭い目つきで洋太を見て通りすぎる
 ・洋太、振り返り風斗を見つめる
洋太「(ぼそっと)風太にい」
清羅「感じわる」
海斗「今や総隊長の右腕だね。(寂しそうに)すっかり変わっちゃって」

 ・清羅、洋太を指さす
清羅「(馬鹿にしながら)洋太もね」

 ・洋太、腕を伸ばして拳を握り前に進みだす

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