元天才少年起業家が現代最強忍者と組んで忍者業界で市場シェアNo.1を目指す話 【3話】
本編【3話】発進
①〇組長室(渡曾の部屋)
・石川と福部、向かい合っており、その後ろに渡曾がいる
石川「福部さん、やりましょう」
福部「おお! 石川殿、本当でござるか? 感謝するぞ」
・福部、渡曾の方に振り向く
渡曾「話はまとまったようだな。一年後、きっちり3000万払ってもらうからな」
福部「もちろんでござる」
・石川、威圧感がある渡曾に委縮しなおす
②〇道(夜頃)
・石川(わなわなしている)と福部(ルンルンしている)、隣同士歩いている
石川M『話に乗ってしまったけど、1年で3000万って、大丈夫かな?』
石川「その、忍者市場の規模ってどのくらいなんですか?」
福部「忍者業界全体で8兆ほど。広告業と同等の規模。その中で拙者の会社の売上はゼロ。社員は拙者一人」
・石川、分かりやすく肩を落とす
石川「具体的な業務内容ってどんな感じですか?」
福部「諜報から暗殺までやるのが一般的でござるが、拙者は一番金になる暗殺をしないんじゃ」
石川「なんでですか?」
福部「拙者の家に代々引き継がれてきた信念でござる」
石川「信念……」
福部「忍者の世界では暗殺をしないなど腰抜けと言われている。だから暗殺をしなくても一番大きい会社になって、拙者が合ってると認めさせたい。これが拙者がトップを目指す理由でござるよ」
石川「……経営には痛手ですが、何かを”しない”ことも強烈なマーケティングになりえます。それにハンデがありながらトップを取るからこそ面白いんじゃないかなって思ったり」
福部「(感心して)やっぱり石川殿は経営者の器でござるな」
・石川、照れる
福部「こうなったら善は急げでござる。拙者の住んでいる街に行くでござる」
石川「(緊張した様子で)どうやって行くんですか?」
・福部、マンホールの前で止まって蓋を開け中を覗く
③〇マンホールの前
福部「ここに飛び込むでござる」
・石川、マンホールの中を覗き込むと底が見えない
石川「ここを? 底見えないですけど」
・福部、笑って大きく頷く
福部「地面に落ちる直前に衝撃を逸らす寸法でござる。拙者を信じるでござる」
石川「やったことあります?」
・福部、首を振る
福部「ないが、拙者は現代最強だから、多分イケるでござるよ」
石川「いや、でも、ほら他の」
福部「早くするでござる」
石川「(じたばたした感じで)無理です、こんな底見えない」
・福部、石川の背中を後ろから押して、石川はマンホールの中に落ちる
石川「ぎゃあーーー」
・石川、目をつぶっている
福部「石川殿見るでござる! 綺麗な景色でござる」
石川M『空気抵抗すごくて話せないよ』
・福部、石川に抱きつき地面に着く直前に手榴弾を投げて爆発させる
福部「着地でござる」
・福部は地面に立っているが、石川は地面に倒れている
石川N【その時、僕の直観は完全に間違っていたのだと思いましたよ】
福部「さあ、拙者の本拠地を紹介するでござる」
・福部、石川の服の後ろを持って引っ張っている
・石川、景色をぼんやりとみている
・建物や道は、江戸時代のイメージ
石川「昔っぽい建物が多いですね」
福部「元々、忍者が滅びることに抗った先祖たちが、地下に逃げたことが起源でござる。昔の生活慣習は大事にしているから、江戸時代の建造法をそのまま用いているでござる。でもパソコンとネットは地上と一緒でござるよ」
石川「(少し笑って)似合わないですね」
福部「忍者にとって情報は命でござる。今時パソコンを持ってないと対抗できぬ」
④〇道
・福部と石川、目の前に大きな建物がある
福部「ここが拙者の会社でござるよ」
・石川、見上げる
石川「すごい、おっきい会社ですね」
福部「大きい? あっそっちじゃなくて、こっちでござる」
・福部、横にある小さいプレハブ小屋を指さす
石川「物置じゃないんですか?」
福部「失礼な! これが拙者の福部忍人合同会社である」
・大きい建物から花田英輔が出てくる
花田「これはこれは、福部さん。横の方は?」
福部「おお、花田殿! 今日から経営を担ってもらう石川殿でござる」
花田「(ぼそぼそと)ふっ、まだそんなこと。まあ、頑張ってください」
・福部、笑顔で手を振る
・福部と石川、プレハブの方に歩いていく
石川「あの、横のって」
福部「ああ、こっちは年間売上3兆5000万の業界トップの忍会HDの支店でござるよ」
・石川、衝撃を受け福部に詰め寄る
石川「(激しく)なんでこんな所選んだんですか?」
福部「たまたまここが空いてて安かったし」
石川「(怒って)そんな……立地ってすごく大事なんですよ! 1年後に3000万返さないといけないのに」
福部「まあ、石川殿が来たから大丈夫でござる」
・福部、笑っていて、石川はその様子を見てため息をつく
石川「まずは場所を移せるように頑張りましょう」
・二人、プレハブの前に着く
⑤〇プレハブ
・ドアが開き、初芽が目の前に現れる
初芽「あっ石川さん!」
福部「そうだ石川殿、売上がちゃんと出るまでは拙者たちと一緒に住んでもらうことになるでござる。かたじけない」
・福部、頭を下げる
初芽「(申し訳なさそうに)今日からよろしくお願いしますね!」
石川N【その瞬間、僕はね僕の直観を信じることにしたんです】
★3話終わり
(この先は売上金額を可視化できるようにして、分かりやすく二人の成長を見えるようにする)