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【日銀の次期審議委員に早大教授小枝淳子氏 政府が同意人事案】
政府は2025年1月28日、衆参両院の議院運営委員会理事会で国会の同意が必要な11機関39人の人事案を示した。日銀の次期審議委員に早大教授の小枝淳子氏(49)を充てる。3月25日に任期満了を迎える安達誠司氏の後任で任期は5年。
政府・与党は衆参両院の本会議で可決、承認をめざす。
小枝氏の政策スタンスについては、市場の一部で「金融政策の正常化にやや積極的」との見方が出ている。
これは、彼女が過去にマイナス金利政策の副作用を指摘する論文を発表したことや、超低金利の長期化による悪影響を主張してきた背景が関係している。
具体的には、マイナス金利政策を撤廃した場合でも、景気や物価にプラスの影響があると論じた点が注目されている。
この人事案は、政府・与党が衆参両院の本会議で可決、承認を目指しており、今後の日本経済の方向性や日銀の金融政策への影響が注目される。
小枝氏が審議委員に就任すれば、政策委員会では初めて2人の女性委員が在籍することになる。
なお、与野党の間では、小枝氏の経済観や政策に対する見方に差異があるため、国会での議論が活発になることが予想される。
特に、安達誠司氏が「リフレ派」とされる中で、小枝氏がどのようなスタンスを取るか、金融緩和政策の継続や変更にどのように影響を与えるかが焦点となるだろうと見ている。
〈女性の起用が2人に〉
日銀の最高意思決定機関である政策委員会は、総裁、2人の副総裁、6人の審議委員あわせて9人で構成され、小枝氏が就任すれば、このうち2人が女性となる。
〈小枝教授プロフィール〉
■学歴
1999年 東京大学経済学部卒業
2005年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)経済学研究科で博士号取得
■経歴
2017年から18年にかけて、日銀の金融研究所で国内客員研究員を務める。国際通貨基金(IMF)でエコノミストとして勤務
東京大学経済学部・経済学研究科の特任講師
早稲田大学政治経済学術院准教授
財務省財務総合政策研究所の総括主任研究官
2022年4月から早稲田大学政治経済学術院教授
日銀金融研究所の国内客員研究員
■政策観とスタンス
〈マクロ経済学のスペシャリスト〉
小枝氏はマクロ経済学、金融、国際金融を専門としている。
〜金融政策の正常化へ辿り着くのか〜
小枝教授は日銀の進める正常化路線を支持する可能性が高いと見ている。
これは、過去のマイナス金利解除や大規模緩和からの脱却を評価した発言から読み取れる。
しかし、低金利政策の長期化による悪影響について警鐘を鳴らしており、政策の見直しを求めていく立場だ。
過去に小枝教授は物価目標を2%ではなく1%に引き下げるべきとの意見を示したことがある。これは、過度な金融緩和による副作用を懸念する見方を裏付けている。
〜市場機能とリスク管理を強調〜
小枝教授は、金融政策の効果を高めるためには市場機能の回復が不可欠であり、過度なリスクテイクを避けるための政策運営が必要だと主張している。
参考サイト:さくらフィナンシャルニュース