ショートショート93:七面鳥のクリスマス
七面鳥のクリスマスは実に賑やかだ。
大きなログハウスに親戚一同が集まって、まずはみんなでプレゼント交換。中の見えない色とりどりの豪華なリボンが巻かれた箱を、みんなで輪になりぐるぐる回す。音楽に合わせて歌いながらテンポよく。誰のが自分に回ってくるだろう。どんなのが自分に回ってくるだろう。ワクワクでみんなの羽毛が飛び散る。
プレゼント交換が終わったら、もらったものはひとまずツリーの下において、次はお楽しみのディナータイム。赤々燃える暖炉の前に大きなテーブルをおいて、その上に豪勢な食事がずらりと並ぶ。お祈りなんてそっちのけで早く食べたいやんちゃな子ども鳥たちを、親鳥たちは笑いながらなだめるけれど、早く食べたいのは親鳥たちも一緒。
みずみずしく華やかなサラダ、本格的なパスタが3種、色鮮やかなピンチョス、バラエティ豊かなひとくちピッツァ、濃厚チーズのグラタン。子どもたちが喜ぶかわいい飾り付けのケーキ、ごろごろとげんこつのようなマフィン、チョコレートの噴水、バケツに入った山盛りのキャンディ。大人たちは100年もののワインと、風味豊かなチーズと、分厚いサラミに舌鼓を打つ。
そして忘れてはいけない、クリスマスの定番。ディナーのメイン。そう、みんな大好きなアレ。
テーブルの中央に置かれているのは、そう、人間の丸焼き!!!
今年は7歳の女の子。こんがり焼けててとても美味しそう。
親戚一同目を輝かせて、ナイフとフォークを両手羽に持ち、早く早くと待ちきれない。
一番年長のおじいさんが落ち着いた声で、けれども元気よく言う。
「メリークリスマス!!!」
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