見出し画像

「浪人は受験に不利」なんだろか?

入試が近づくにつれて、受験生の間には、たくさんの都市伝説(根拠のない風説)が広がります。人は不安が高まると、それを増幅または緩和する風説に惑わされやすいのです。誰にでもあることであり、仕方ないことですが、その一つ一つに凹む人たちがかわいそうです。そこで、「浪人は受験に不利」ではない!とボクが力説する根拠の一つを示します。
出典は文部科学省の「医学部医学科における不適切な事案の改善状況等に関する調査結果」です。女性を中心に属性だけで受験生を不当に低く評価する「不正入試」が、あちこちの大学で発覚したのちにまとめられたものです。
女性であること、浪人であることなど属性は、本人の工夫や努力では変えようがありません。それをモノサシに評価することは基本的には差別なのです。最近の大学入試における女子枠のように、あらかじめ趣旨を説明し、公表している場合は別(例外)です。このときは属性評価を公開をしないで、慣例的に行なっていたとのこと。秘密と不正は密接に関係しています。
上記の文書をみると文部省は以下のような取り扱いを「不適正」と指摘しています。そして、それらを大学がどのように改善したのか概要がわかる文書です。「浪人」差別が含まれる「不適切」事案の一端を紹介しましょう。

1.一般A方式,一般B 方式,センター・一般独自併用及びセンター 利用において,各二次試験の小論文試験・面接試験等の合計評価 点については,女性の受験者の合否判定基準が男性の受験者より 高く設定されていた事案
2.一般A方式一次試験において,学力試験の順位が一定順位以下の 受験者については,浪人年数によって男性の受験者に比べて女性 の受験者が不利益に取り扱われる合否判定基準が適用されていた 事案
3.一般A方式一次試験において,学力試験の順位が一定順位以下の 受験者については,現役生に比べて浪人や浪人年数が多い受験生 が不利益に取り扱われる合否判定基準が適用されていた事案

順天堂大学

1.一般選抜II期入学試験において,入学者の確定を急ぐため,募集 定員20名の合格者に加え,辞退者を見込み,その見込み数について補欠者のうちから同窓生子女を優先的に合格させていた事案
2.現役受験生,一年浪人受験生については,将来性を評価して二次試験(面接・小論文・調査書による総合評価)において,複数ある調査書評価項目の一つとして現役受験生・一年浪人受験生に加点を行っていた事案

昭和大学

一般入試における3か年分の調査書等の点数化結果について調査したところ,毎年,男・女と現役・浪人で最高点,最低点ともに 大きな差がついているとともに,平均点でも女性より男性が(1.8 倍~2.6 倍),多浪生より現役生が(例えば18 歳以下が21 歳以 上の3.5 倍~15 倍),顕著に高い点数となっていることを確認し ており,性別や年齢等の属性により一律の取扱いの差異を設けて いることが疑われる事案

聖マリアンナ医科大学

いずれも文部科学省の「指摘」を踏まえて「廃止」され、または、「確認されなかった」という事実を、この文書は記述しています。これにて一件落着のはずなので、受験生は安心してくださいね😊都市伝説という亡霊に怯えたりしないで、性別や年齢などの属性とは関係なく、小論文試験や面接試験では「わたし」を振り返り、理解したこと・考察したことを素直に伝えましょう。
医学・医療分野ではEBM(Evidence-based Medicine)という用語があります。教育もEvidenceに基づかなければなりませんよね。自戒をこめて😅


いいなと思ったら応援しよう!