中学聖日記④ 〜中学生に手を出した話〜

合宿の翌日。
私はその日、仲の良い友人グループと河川敷で花火をする約束をしていました。

夕方ごろ最寄駅に行くと、駅の目の前に舜の通う校舎が構えています。そこで、少しの可能性にかけて舜に連絡をしてみました。

「今、舜の塾の目の前にいる」

すると、暫くしてから
「そこにいて。すぐ行きます」と連絡がきました。幸い、自習中だったようでした。

そして人目を盗み、舜と会うことに成功しました。人に見られないよう、図書館の陰で舜に会いました。会ってしまった…。また微かな罪悪感が私を襲います。

ただ、勉強の邪魔をしてはいけないので、少しお話をして、ツーショットを撮って分かれました。帰り際、自動販売機があったので「何か飲みたい?」と聞くと、舜は「スパークリングポンジュース」と、かわいい飲み物をチョイスしました。ふふっと笑い、買ってあげるのでした。


そこから1ヶ月後くらいでしょうか。
塾の勤務の後の夜遅くに 舜に呼ばれ、舜の最寄駅まで飛んで行きました。(最寄駅も隣だったのです)
舜は塾帰り、私は勤務帰り。
舜は明らかに中学生の格好、私はスーツ。
どこからどう見てもカップルではなかったし、兄弟と誤魔化すしかなさそうな関係。でも、兄弟がこんな時間にふたりで出歩くわけもないし…と、ふたりで必死に言い訳を考えました。

そして私たちは、舜の最寄駅に唯一ある有名な大学に行きました。夜の大学への侵入でした。さまざまな罪悪感にかられながら、大学のキャンパス内をふたりで歩きました。たまに垣間見える警備員の存在に怯えながら。

階段にふたりで座りました。
他愛無い話をして笑い合い、暫くして舜がこう言いました。
「先生、抱きしめてもいいですか」

「…いいよ」

舜は私のことを、後ろからぎゅっと抱きしめました。慣れていない抱き方でした。かわいいな、と思いつつ、その瞬間に私の中にすこし冷めた感情が湧き出てきました。

私、何してるんだ?


中学生に愛されて喜んでいる私が如何に虚しい人間か。そして如何にリスキーなことをしているのか。
今まで封印していた、タブーな事実に心が痛むのでした。

「舜、お母さん心配するしもう帰ろっか」
「…まだこうしていたいです」

「でも夜遅いから」

私は少し強い口調で言ってしまいました。


「また、会ってくださいね」
舜は悲しげな表情で手を振りました。

その「また」がいつ来るのか、
その時の私にはわからなかった。
もう終わりかな、とも思ったのでした。

続く🐰

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