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トロントの怪しい会計事務所で働いてみた
今回はカナダ・トロントでお仕事シリーズに戻りまして 第5弾!「怪しいところで働きすぎじゃない?」という疑問はさておき、今回は会計事務所なのに怪しい?!耳を疑うような体験をした会計事務所で働いたときのお話しをしましょう。
学校は前回お話ししたようにパートタイム制だったので通い始めてすぐからまた新しい仕事を探し始めました。今回はもちろん会計(Accounting アカウンティング)の仕事。とはいえこの頃はまだ会計の「か」の字も知らない、なんならまだ会計のクラスも受けられず英語のクラスを受けている頃だったので、会計の仕事が見つかったら奇跡!という状況でした。
なので、なんとなく当てにならない情報にあふれる検索サイトCraigslist (クレッグスリスト)でCoop (コーオプ)という名目で無賃金での就労実習生として採用された時点で、ちょっと怪しい会計事務所だというのは察しがつきました。
どんな会社?
アシスタントとして採用されたこの会計事務所は、トロントの北のほうにあるなんの変哲もない小さなオフィスで、中には会議室が2つと、コンピューターと電話があって作業する部屋が2つ、あとはとても小さなランチルームがありました。
私のほかに働いていたのは、アイーダという名前のとっても優しいヨーロッパ系の会計士の女性と中国人で公認会計士のオーナーの女性だけという、とても小さな会社でした。この事務所が主にやっていたのはBack tax(バックタックス)と呼ばれる、正規の申請期限内に申請されなかった確定申告の申請のお手伝いと、カナダ税務署から何らかの通知が来て返答に困っている、いわゆる税金的に困っている人を助けることでした。
私の仕事内容
当時簿記の基本である借方(Debitデビット)や貸方(Creditクレジット)すら知らなかった私がたいてい任されたのはバックタックスの情報入力。人に聞こうにも他には二人しか働いていないのでいつも二人とも忙しく、私はいつもほったらかしにされていたので(通常の就労実習は先輩がついて教えるものです)私は過去に他の人が入力した情報を解析しながら入力していました。今思えば、果たして正しく入力できていたのか・・・・・そこは謎です。
たまにCRA(カナダ・レベニュー・エージェンシーの略。日本で言う税務署でしょうか)に電話をかけて問い合わせをしたり、あとは電話対応や前日の午後に次の日の予約の確認電話をしたりもしました。英語での電話は当時まだドキドキでした。
耳を疑った話
そんな新人を放っておくあたりもそうですが、ある出来事をアイーダから聞いたときはこんな会計事務所もあるんだと知ってショックを受けました。
ある日いつものようにオーナーは新しいお客さんの女性と面談をしていたそうです。この女性は税務署から何らかの通知を受けたか、過去に払われなかった税金が巨額になって首が回らなくなったとかで、とにかく深刻な状況。そこでこの会計事務所に助けを求めに来たというわけです。女性は面談中泣いていたらしく、立ち会ったアイーダは心を痛めていましたが、女性が去った後のオーナーの言葉にぞっとしたそうです:
「ああやって泣いてくれるお客さんには、たくさん料金を請求できるからいいのよね」
泣くほどの状況にいるお客さんほど事態が深刻だし、本人も藁にもすがる思いだから、こちらが多少多めに手数料を請求しても疑問に思わないらしいのです。まさか人の不幸をこんなところで逆手にとるのかと、今でも忘れられないショックなお話でした。
「怪しい」という言葉がこの会計事務所を正しく表しているかはわかりませんが、就労実習とは名ばかりで無賃金で人を雇ったり(とは言え私も果たして正しく入力できていたか定かではないので、その辺お互い様ですが)人の弱みに漬け込んで商売をするというのが、会計士という世界にもあるんだということを知る、ある意味いい経験になりました。もちろんたいていの会計事務所というのはちゃんとしていて、ほとんどの会計士さんは誠実ですよ!私もそんな会計士を目指しています。
私とアイーダのその後と言いますと、もともと短期での採用だったので私は3か月後に期間終了でそのまま去り、ほどなくしてアイーダも違うところに転職したそうです。とても親切で頼りになるアイーダ、今はどうしているのかな?
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