【短編小説】『ロボットのアニエスが好きになったのは、頭がはげたおじさんだった。』
ロボットのアニエスが好きになったのは、頭がはげたおじさんだった。
頭が綺麗にはげていたから、人混みの中でもおじさんのことを目で追うことができた。
そのおじさんの頭は、きれいにはげていた。
毛は一本もなく、太陽の光が当たるとだれよりも光った。
ときどき人混みに紛れて見失いそうになる瞬間もあったが、その日はお天道様が空高く照っている日だったから、おかげでおじさんの頭はピカッと光って、アニエスはいつでもおじさんの位置を把握することができた。
アニエスは、孤独な博士が生み出