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○ラーメン屋さん、ひとり時間
『ラーメン赤猫』を観てからずっと、ラーメン屋さんのラーメンが食べたくてうずうずしていた。
ということで、会社の休憩中にひとりラーメン屋さんへ赴いた。
会社の近く、徒歩10分圏内の場所にあるラーメン屋さんが案外少なく、本当は醤油ラーメンが食べたかったけれど塩ラーメンのお店へ。
すんなり入れた店内。
発券を済ませ、そのまま空いている席で良さそうな場所に腰を下ろす。
サラリーマンの人たちの中で女性ひとり。
作っている人たち側からの景色は少し異色に映るかもしれないが、カウンターに座っているおじ様たちはわたしに全く見向きもしない。
ぼんやりと「なんだか群れを間違えた動物みたいだ」と思いながらラーメンを待つ。
店内で会話をするのは店員だけで、それも業務内容のみ。それなのに活気が無いわけではない。
不思議。
絶妙なバランスを保っているけれど、おじ様たちはこの場所を居心地良く感じているのかしら。
ちなみにわたしは「無」。
ぼんやりインスタを見ながら、ラーメン早く来ないかな、くらいにしか思っていない。
(何せ念願なので。)
待っている間に食べ終わった人たちがお店から出ていく。
みんながぼそっと「ご馳走様」と呟くその声を聞き逃すことなく、店員の「ありがとうございました!」が店内に響く。
客の去り際の良さと、どんなボリュームでも客の声をキャッチする店員の力はラーメン店特有かもしれない。
わたしの隣りの人が店を去り、すぐに新しい人が席を確保する。
そのおじ様の体臭がなかなかわたしの鼻を刺激する。これも群れ特有なのか…?
いや、反対に座ってラーメンをすすっているおじ様は清潔感のある洗濯物の匂いだ…。
席、移動したいな…。
そんなことを思っているとついにラーメン到着。
フワッと香るラーメンの匂い。硬めの麺。
なるほど、ここはナルトが付いているのか。
友達に以前、外国人観光客の中にはナルトがラーメンに入っていないと怒る方がいるのだと聞いた。どうやら『NARUTO』が好きな方々らしい。
雑臭に惑わされず、ラーメンの匂いだけを堪能するために、少し前かがみになりながら啜る。
きっとラーメン屋さんでラーメンを食べる人をイラストで書く時、大体みんな猫背に座るスーツの後ろ姿にするのは、このせいだ。
そこからの脳内、「無」。
多分ここにいるみんな、頭の中は「美味しいわ〜」なんだろうな、と思うと笑える。
全員が無言だからこそ、周りを気にすることなく目の前のラーメンと対峙できる。
ラーメンを完食し、ほかのおじさん達を真似て「ご馳走様でした」とボソッと言う。
やっぱり「ありがとうございました!」が返ってくる。一種の特殊能力だな。
若干間違えた(と感じる)群れで20分程度過ごしてみたけれど、気にしているのは自分だけ。
涼しくなった秋晴れの下を歩きながら「午後、お腹いっぱいで寝ないといいな」なんて考えながら職場へ帰って行った。
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