美しいエネコの海と悲しい出来事。
マーシャルに来る前に
OBの方にお話を聞く機会があった。
そしてみんなが口を揃えて言うことがあった。
『エネコの海は綺麗だよ。』
『マーシャルで一番おすすめな場所だ。』
エネコは、バスターミナル(?)の近くにある船着場から出ているフェリーで20分ほどで行くことができる海で、土日になると現地の人でいっぱいのレジャースポットだ。
Eneko
Majuro Atoll, RMI
また宿泊施設もある。晴れていれば夜空は満点の星、最高の景色だろう。干潮だと何時間もかかるが、歩いていけるそうなのでいつかチャレンジしてみたい。
期待を胸に、1月末先輩や同期、6人でエネコへ出かけた。
天気は曇りのち雨。
フェリーに乗っているときは雨が降っていたが、エネコに着くと雨は止み、お日様が出てきて天気が晴れに変わった。噂通り、とても綺麗な場所だった。
そして、あっという間に悲しい出来事が起きてしまった。
わたしは警戒心がとても強い。アジア・南米をバックパッカーとして旅するうちに身につけたスキルだと思う。
その時、天候のこともあり、この島は貸切状態。それでもカメラを置きっぱなしにして海に入ることはなんだか不安だった。そのため、海辺の砂浜から10m以上は離れた岩の上にカメラのバックを置いていた。
シュノーケリングをすると、
こんな景色が海の中には広がっていた。
(水中カメラで撮影)
20分後、海から上がると...
なんとカメラが水没していた。
ただただ悲しかった。
それ以上の言葉がでなかった。
無心で乾かしてみたものの、海に浸ったら終わりというのは知識としてあったのでもうどうすることもできなかった。
心にぽっかり穴が空いてしまったような喪失感...ショックでほとんど誰にも打ち明けられなかった。
それにこのカメラはオーストラリアで一生懸命働いたお給料で購入した思い出のものでもあったのだ。
あのときこうしていれば...
何度もそう思ったがもう遅い。
それでもどうにかポジティブでいたかったので、その日から毎週日曜日は掃除・トイレ掃除の日と決め、6:30起床、22:30就寝という規則正しい生活を心がけることにした。
(悲しいことがあるとすぐトイレ掃除をするというのはわたしの習慣。当時は共同生活だったこともあり掃除は最低限しかしていなかった。)
それでもカメラはないことには変わりない。
その代りに、わたしはデザインに手を出した。もともと好きだった料理も始めた。きっと悪いことばかりではない。何かを失えば、何かを得ることだってあるだろう。逆もしかり。
ただ、マーシャルの子どもやおばあちゃんの表情を見ては、写真に残したいという衝動に駆られることが多かった。あの瞬間を撮りたかった。いままでわたしにとってどれだけカメラが大切な存在だったかを改めて実感したのだった。
日本に帰ってきて、実は同じ機種のカメラを購入したが今は手元にない。
この話はまた今度。
今回は前回ほどは落ち込まなかった。
成長するみたい。
人を恐れるばかり、自然を恐れることをしなかった。その日は満月だったこともあり、潮の満ち引きが激しいのだった。カメラは海へ持っていかない。もし持っていくときは、水対策をしっかり行う。クーラーボックスなんかも良いらしい。
そんなことを心に誓った出来事だった。