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父の手術にまつわる話〜前編〜


こんにちは。
皆様お変わりありませんか?
実家の父が手術をすることになりまして、深山家は1ヶ月ほど前から大騒動です。


ヘルニアなんですけどね。
鼠蹊ヘルニア。
あの、たけしのやってた、コマネチんとこな。
命に別状は微塵もござーせんよ。


だけど彼はこの世の終わりくらい落ち込んでいる。
そして彼に言わせると、全身麻酔がとんでもなく恐怖だと。
寝ている間に納まっちまったら…と。
(これ茨城弁なのか?棺桶に…という意味です。)



どうやら幼少期に全身麻酔の経験があるらしいんだけど、その時の知らない間に眠らされたというショックと、彼の母(私の祖母)の手術や闘病生活のトラウマが彼を苦しめているようです。
彼の母は彼が学生の時に他界しているのですが、やっぱり子供のときのトラウマって大きいよね。
ま、それは分かる。



だけど局所でなんて聞いたことないし。
それに手術の局所なんてオススメしないよ。
器具のガチャガチャした音や、皮膚をパツパツ切る音が聴こえて気持ち悪いんだよね。


この一ヶ月、『やりたくない』『やめたい』と、ため息を1日に何度も繰り返したり、急にイライラしだしたりして物に当たり散らす父に対し、我慢の限界に達した母が、
「ぁああああああ情けねぇ!さっさと取っちめぇばいいだろ!死んだって別に構めぇ!死なねぇ人間なんちゃいねぇんだど?!」
と本人に言ったもんだからそこからはもう物の投げ合いです。
お気付きでしょうが私の気性は両親譲りです。



そんな両親をどうにかこうにかなだめて前日まで来たものの、前日の夜になり今度は熱があるだのと言い出して。
やりたくないせいか、体温計を出したり入れたり出したり入れたり…かれこれ1000回くらい計っていた。


そして迎えた入院当日。
まとめた荷物の他に、財布だ何だって言うもんだから、金は必要ないと言ったんだけど、10万以上の現金とクレジットカードの入った財布を持って行くと言い出して聞かず。
挙句、癇癪を起こしたのでもう好きにしろとこちらも匙を投げた。
常に10万必ず財布に入れてるんだとよ。
こういうヨボってる年寄りがいとも簡単に路上で金品奪われるんだろうな。
※ちなみにこの多額の金は後に看護師の一言により、即刻持ち帰りとなる。


病院裏口に到着。
彼はゲート入りを嫌がる新馬の如く何度も後退り、部屋入りするまでに1時間強を要した。
厩務員…じゃなかった看護師さんも、
「もういいですか?」
って。
そらそうだ。
本当なら除外にしたいところだろう。
土日は手薄なんだよ、俺、病院で働いてたから分かる。


なんとか押し込んでゲートを離れたが、出走後すぐに電話が来た。


内容はもうとんでもなくくだらないから省略しますが、その後も1時間置きに、母と私交互に着信が来ています。


そして19時。
どうやら熱発したらしい。
37.4℃だと。
本人より明日の朝、いつもの体温計を持って来いとの連絡があった。
病院の体温計を信じていない。
ふざけるな、お前のものより正確だ。
ぐっと飲み込んで、ひとまずまたなだめて電話を切った。


20時45分。
3人部屋(無人)に移された模様。
本人は他人のいびきが煩く眠れないからだと言っていたが、8割方、己の不穏と熱発に違いない。


21時51分。
もう彼は眠っただろうか。
消灯はとっくに過ぎている。


続きは後編で。









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