見出し画像

和声法⑹〜Ⅱ7の和音

この記事では、サブドミナント和音の一種であるⅡ7(にどしち)の和音について解説しています。

Ⅱ7は、副七の和音の中では最もよく使用される和音ですが、
和声学で勉強する場合は、属七や属九に比べるとシンプルな内容です。

⑴三和音
⑵三和音の第1転回
⑶三和音の第二転回とバス定型
⑷属七の和音
⑸属九の和音
⑹Ⅱ7の和音👈
⑺準固有和音
⑻ドッペルドミナント①
⑼ドッペルドミナント ②
⑽Ⅳ7、ナポリ、ドリアの和音

参考文献はこちらです。


Ⅱ7の和音

📍基本情報

Ⅱ7の和音の機能は、芸大和声においては、Ⅱ度和音と同じくS(サブドミナント)和音に分類されます。

構成音は、ハ長調(Cメイジャー)の場合『レファラド』(Dm7)、
ハ短調(Cマイナー)の場合『レファラ♭ド』(Dm7-5)であり、
Ⅱ度和音(レファラ)に第7音(ド)が追加で重ねられます。


Ⅱ7の和音は基本的に、D(ドミナント)和音へのみ進行します。
Ⅳ度などの別のサブドミナント和音にはあまり進みません。


Ⅱ7の和音の例としては、ハノンのスケール練習のカデンツがあります。


名曲の例では、J.S.バッハの《平均律クラヴィーア曲集第1巻第1番ハ長調「プレリュード」》の2小節めで、Ⅱ7の第3転回形が使われています。


【和声学で覚えること】
❶和音記号は、ローマ数字Ⅱの横に7を書きます。
❷転回形は、第3転回形まで使用できます。


📍配置

密集か開離で行い、4つの構成音をそろえます。基本形は5欠(第5音(ラ)を省略)もできます。

❸Ⅱ7の基本形は、属七と同じように5欠もできます。



📍連結→

いつも通り、共通音は保留させたり、なるべく近くへ進行させます。

第7音「ド」は下行限定進行音です。

❹Ⅴ7へ進行するとき、第7音「ド」は2度下行させます。

属七の第7音(Cメジャーのファ→ミ)と同じ進行ですね。

その他、留意点が2つあります。

❺Ⅰ度2転へ進行するときは、第7音「ド」を保留します。
❻根音「レ」は、ただのⅡ度和音とは違って、下行しなくても大丈夫です。
(下図参照)

第7音(ド)は、導音(シ)へ下げましょう。



📍→連結(予備)

また、Ⅱ7の和音の第7音(ド)は、予備が必要です。

【予備】
共通音を直前の和音から保留させることを予備といいます。


❶限定進行「ド→シ」❷「ド」は予備が必要、の2点を覚えていれば、Ⅱ7は最低限大丈夫です!



❼その他、長調のⅠ→Ⅱ7の進行では「ドソ→レラ」の連続5度ができやすいので、チェックするとよいでしょう。
(短調の場合は、「ドソ→レラ♭」と後ろが減5度になるので問題ありません。)


実践!

今回の課題はこちらです。
(洗足オンラインスクール 『和声の祭典』和声課題集Ⅱ 第2部 Ⅱ7の和音 課題4の1番です。)

Ⅱ7を3個以上使わないといけない課題です。

課題を始める準備として、『和音設定』と『ソプラノの音高と配置の決定』を行いましょう。


🌱和音設定

…おおよその和音と、カデンツを設定します。

①現段階では、「ミ」はT、「シ」はDと決まっている。
・「ミ」→ Ⅰ度の第1転回形 (T)
・「シ」 → Ⅴ度系の第1転回形 (D)
②開始と終止は主和音、長い音符「ソ」は半終止のⅤ度和音。

③バス定型を書き出す。

TとDが設定できました。まだ決まってない部分がS和音です。

④Ⅴ度系の和音の前に、Ⅱ7の和音を設定しておく。
⑤残った音「ラ」は、バス定型「ソ→ラ」ではないため、Ⅳ度一転。

連続や並達によってⅡ7にできない部分は、適宜Ⅱ度やⅣ度にします。



🌱ソプラノの音高と配置

…ソプラノを「ドorミorソ」にするか、配置を「密集or開離」にするか決めます。
   今回は根音高位(ド)の密集配置にしました。

・3小節めのバスが「ラ」と高い位置なので、ソプラノの開始位置は高くしたり、密集配置にするのがベターです。

・後半が、予備などでソプラノの動きがなくなってしまう可能性があるので、前半では動かすことを目指します。



🌱課題スタート!

❶バス《ド→ファ→ファ→ミ》
機能《T → S→ D→ T》

2つめのバス「ファ」をⅡ7にしたので、ソプラノの「ド」を予備から限定進行させます。「ド→ド→シ→ド」というメロディができました。 

内声を密集配置で埋めます。4つめはオクターブ配置になりました。連続や並達がないか確認して、次へ進みます。



❷バス《ミ→ラ→ラ→ソ》
機能《T → S→S→ D》

5つめのバス「ラ」は、Ⅳ度の第一転回形です。直前がオクターブ配置であり、配置転換ポイントなので、開離配置にしてみます。
上三声はドまたはファであり、アルトは「ソ→ファ」へなるべく近くへ進行させて、ソプラノは跳躍、テノールは保留します。
続く6つめのバス「ラ」はⅡ7が使えるので、第7音「ド」は予備からの限定進行、その他の声部は配分一致により開離配置にします。


❸バス《ド→ド→シ→ド》
機能《T → S→ D→ T》

半終止の後の「ド→ド→シ→ド」は、みたびⅡ7が使えます。テノールを「ソ」にしてⅤ7でも良いですが、Ⅴ9根音省略形の「ラ」も使えるのでそちらにしてみました。「シ→ド、ファ→ミ、ラ→ソ」と規則通りに進ませます。


❹バス《ド→ファ→ソ→ド》
機能《T → S→ D→ T》

後ろから3番めのバス「ファ」の和音をⅡ7にすると、続くⅤ7の和音においてソプラノとバスで連続5度が生じてしまうので、ソプラノを「レ」にします。Ⅱ度和音の開離配置になります。最後のⅠ度和音は標準外配置になります。


☆完成です!



最後まで読んでくださり、ありがとうございます!


さくら舞🌸

サポートお待ちしています♪励みになります🌟