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あぁ、お寺パート日誌 * 神式葬儀の裏方編 *
今日はパート勤務しているお寺での一日を綴ろうと思う。
勤め始めて約半年が過ぎ、仕事も人生経験も先輩のお姉さま方に囲まれて、まだまだ一番下っ端パートさんなわたし。
今回もめちゃくちゃささやかながら、わたしにとってプチ未知の扉開門な一日の出来事です。
重大任務発令
わたしの勤務するお寺さんは、ご祈願、ご供養するお堂の他に、お葬式やお寺の行事を行うための会堂もある。
普段は札所やご祈願・ご供養に関わることや法事の補佐などの業務が多いが、時々この会堂でのお手伝いもあるのだ。
朝、「さくらさん、今日は会堂にて神式の葬儀が入っています。お手伝いお願いします。」
とお寺さん指令。
周りの先輩パートさんたちの嬉しそうな空気…
嬉しさダダ洩れでニヤケてるやんけー!
そう、嬉しそうというのは
“頼まれたのあたしじゃなくて良かった〜♡”
という安堵の視線。
神式とは神社式のことで、宗教によって様々な葬儀の形式があるんですね。
って、勤めないと知らなかったことだらけ。
先輩方の失敗談を何度も聞かされ噂には聞いてたけど、
遂にわたしに白羽の矢が。。。
その仕事とは、、
ザ・電気を消して付ける役目!!
何それ?大した役割ちゃうやん、一瞬やんって気がするが、
実際は結構重要なお役目で。
葬儀の最中、神社の神主さんが『ここ!!』というタイミングに祭壇と会堂内を一瞬で消して、
また『今!!』というタイミングでパッと元の通りに電気を付ける。
大切な葬儀の流れを崩してしまうので、
その合図から遅かったり、付け方を間違えたりすると
葬儀会社方からもお叱りを受けたり、恐怖心が植え付けられた我々パート軍団。
厄介なのは付ける電気の配電盤が複雑で、祭壇は番号を合わせないと明るくなりすぎてNGだし、決まったことが多すぎる。
それを合図と共に一瞬で行わないといけない。
ポチポチ!くらいでは終わらない。
ポチポチポチポチ、パチパチパチパチパチ!!
である!
始まるまでに数回の練習が許され、
「遅いです!」
「まだ遅い、それじゃダメなんですよ。」
「そこ、付けないでください!」
など調教され、既にへとへと。
だが!ここは任されたプライドがある!
やり切って見せる!!
お寺に来て半年、ここで最初の功績を残すのよ!!
今日のわたしの全集中組織を使い果たす所存ですー!
学生時代からクラスでも友達同士でも長とかリーダーという役割には無縁だったわたしゆえ、
任されるという経験があまりにも乏しい。
そのせいか任される状況に対する免疫がない。
自分をどんなテンションにしていいかわからず、盛り上げるパターンしか持ち合わせていないことを知る。
そんなこんなで任務本番
今思い出しても心臓がバクバクする。
ほんまにチキンハート乙女なおばちゃん。
「…なにこの緊張感。
映画とか番組作る裏方の人ってすごい。
こんなん毎日耐えられへんやん。
音響さん、照明さん、裏方の皆さんマジすげえやん。。」
とにかく心でぺらぺら喋ってないと平常心が保てない。
あとは無心で暗記したライトを消しては付けた。
任務成功~~!
葬儀会社の方の合図のご協力があり、
なんとかなんとか、失敗せずに終了~!!
プッシューーと抜けきったわたしに、先輩たちからの熱い視線とねぎらいの言葉をゲットー!
まだまだ欲まみれのわたしの承認欲求スポンジは、じゅわ~っと金色に沁み渡ったのだった。
おいチョト待てよ。これから任され続けたらどうすんだ…
チキンハート乙女おばちゃんに新たな恐怖心が芽生えかけたのは見逃さずに…
ここに綴っておこう。