負け癖を勝ち癖に変える方法
私はその昔、大変な暴れん坊でした。暴れん坊というか…、肉体に入る前の記憶と少しごっちゃになっているところがあって、
「この世は自由で、際限なくどこまでもできる!」
という観点から、自分の体以上の事をしようと目いっぱい体と心が動くように毎日毎秒、寝るとき以外フルパワーで動いてたんですね。
その結果どうなったか。
もちろん母は大変です。一分一秒予断を許さない状況が毎日です。おむつをはきながら、地上から高さ1メートル以上ある窓から外に脱出して、水遊びをするような人間です。
いや、赤ん坊です。
カラクリ的には、遠く室外機に立てかけてあったホウキの棒を窓から身を乗り出して掴んで、それを伝って降りました。
いとこ、幼稚園の同級生から上級生。その父母、先生たちまで何かあると
「どうせあの子がやったんだろう」
と、私が原因じゃないものまで私がまず疑われます。
ショックだったのは、母が一番そうだった事でした。誰よりも先に母が私を疑って、泣いてる子の親も驚くぐらい殴られたりもしたものでした。
怒られていくうちに段々と自分が悪かったような氣がしてきて、心は「?」が多くなりました。何で怒られているのか分からないけど、責められる日が続く。
しかし、それも続くと慣れて行くもので
「何か良く分からないけど悪い事したんだな」
で、大人になると
「このアクシデントは私が悪いんだな」
になっていく…。
師である友野と働き出したとき、改まって友野に言われました。
「桜賀和さん、負け癖がついてるんだね。勝ち癖を付けた方がいいよ」
最初何を言っているのか分かりませんでした。
「小さな事でいいんだ。水を飲むぞ!って決めて、台所でコップに水を汲んでそれを飲む。それで自分にOKを出すんだ。できたぞ!って」
それでも何を言っているのか分からず…。
でも一応やりました。まず水から。
正直バカらしかったです。
そんなの誰でもできるじゃないか…と。
数日後、出先で炭酸飲料が目に入り、悩みました。
この30年間、滅多な事ではほとんど買わず、飲んでこなかったもの。
『OKを出して買ってみよう』
買って飲むと罪悪感に苛まれます。すると友野が言いました。
「そんな自分にもOKを出すんだよ。買ってみるとOKした自分にOKを出すんだよ」
その時、何故自分が罪悪感にかられるか分かりました。
親が「そんなもの飲んではいけない」と言っていたからでした。
自分の意思ではなかったのです。
私は自立の道を歩き出しました。
結局私は甘いものは好きではないということに氣がつき、無糖で味のついてないただの炭酸のほうが好きだと氣がつきました。
自分という人間の意思で選んだのです。
自分の意思を一から築いていく。人間になっていく。
自己肯定感が上がってくるのを感じました。
いつも自分の胸を支配していた不安や恐怖は、
自分の意思を築いて無かったからだと氣がつきました。
まだまだOKを出すものは多く、枠があるけれど友野は
「それは一生やり続ける事になると思うよ。私も未だにやってるよ」
と笑っていました。
そうして成長していくのは、楽しいでしょ?と。
私は今、楽しいことをしている。
枠を取り、もっと自分の可能性を高めていこう。