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絆創膏(ギャップフィラー)という役割

組織の穴を埋める「ギャップフィラー」という役割があることを最近知った。
Dropboxが成長中の時に、ルチ・サンビ(ドロップボックスの元オペレーション担当役員)がこの絆創膏の役割を担っていたようだ。経営陣が十分に揃わない成長中の企業で空いているポジションに絆創膏を貼るように、一時的に穴埋めし、ゆくゆくは最適な人材にそのポジションを引き継ぐことが役割だ。
多くの場合に、会社として最優先事項ではないが徐々に重要性が増す仕事(コミュニケーションやマーケティング、カスタマーサポート)に、ギャップフィラーが必要になることが多いようだ。

私は大企業からスタートアップに転職して1年が経った。入社当時に担当していた業務範囲と今を比べると10倍以上に広がったように思える。私自身もルチ・サンビさんと同じようにオペレーションを担当おり、そのオペレーションの意味は如何様にでも解釈できる。だからこそ、企業の成長と共に色々な役割を担うことは必然と言える。ただ、言ってしまうとこの便利屋、何でも屋の立場に非常にモヤモヤした気持ちがあったのも確かだ。私の仕事は一体何なのだと。

この気持ちは大企業に勤めていた時代にも感じたことがあった。この案件は誰が拾うのかという初モノ、未知モノは大抵私のところに渡ってきた。チーム名もスポンジチームと呼んだ。メンバーには、「俺たちはカッコよく言うとキングダムの飛信隊のような遊撃隊。カッコ悪く言うとスポンジだ。綺麗な水だろうが、汚い水だろうがとりあえず吸うんだ。吸ってからどうするか(自分の中で消化するか、他に渡すのか)考えるんだ」と話した。おそらく納得していなかったと思うが。

正直、このような働き方は自分が何をしてきたか客観的に説明しにくい。なぜなら一番どうにもならない時期にその役割を担って、徐々に良くしていくフェーズに入ると他のメンバーに業務を渡すからだ。専門性を高める前にその役割を終えてしまうかもしれない。不遇な役回りと言えるかもしれない。

ただ、大企業においても、現在のスタートアップにおいても、この絆創膏(ギャップフィラー)の役割は重要だと考える。どの企業においても完璧な組織構造はない。どうしても穴や弱い部分がある。そこを不細工でも、歪でも暫定的に埋められる人材は貴重と言える。今後さらに変化の速度が速くなればなるほど、組織構造が合わなく可能性が高くなる。そのような時に絆創膏の役割は組織構造を最適化するための時間稼ぎに必要になるだろう。

今回、「ギャップフィラー」という役割は「爆速成長マネジメント」という本で初めて知った。ジョブ型雇用が進んでいくなら、この役割を担う人は今後減って行くかもしれない。だからこそ、この役割を担える人は貴重になるかもしれない。ギャップフィラーという役割が一般により浸透し、またその役割を担うためのスキルセット、マインドセットが整理できたらと思う。​


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