タワー
外国人が立ち止まってスマホを構えている方向を見たら、真っ直ぐな道のずっと先の突き当たりに、ニョキっとスカイツリーが見えていた。
あれがあのまま道を塞ぐようにこちらに向かって倒れて来たら、どの辺まで届くんだろう。634メートルだっけ、流石にここまでは届かないか。
実際にそんなことがあったら大惨事だが、脳内のスカイツリーは積み木のように、上手に真っ直ぐコテンと道に倒れてくる。倒れて来そうに思える。コテーーン、かな。
同じタワーでも、東京タワーは倒れそうにない。怪獣にへし折られることはあっても、コテンとはしない。根を張っているからね、東京タワーは。
かつて、スカイツリーの建設地が、ああ、あそこなんだとベランダから見えるようになって来た時、ニョキニョキと高さを増してくるその姿を見る度にコンニャロメと、東京タワー贔屓の私は思ったものだった。
今もあまりあの形状にはときめかない。光っていてもときめかない。東京タワーには思い出もあるけれど、スカイツリーにはないからかもしれない。
高いからって、なんなのさ。
と、152センチの私は思う。