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朝のリレー(200字未満日記)

谷川俊太郎氏というと「朝のリレー」を思い出すのは、映画館の大きなスクリーンで何度か観たからだろう。

静かなピアノのメロディーと、透明感のある映像に吸い込まれそうになりながら聞いた朗読。

カムチャッカの若者が
きりんの夢を見ているとき
メキシコの娘は
朝もやの中でバスを待っている

谷川俊太郎「朝のリレー」

あの頃はよくひとりで映画を観に行っていた。わぁっと映画を楽しむというよりも、暗い場所に心を沈めに行くような…とにかく、そういう時間を必要としていた頃のこと。

ひとり、座席に埋もれてぼぅーっとスクリーンに顔を向けていたとき、流れたそのCMに、拗ねた気持ちが一瞬で持っていかれた。

そんな思い出。