#12 ラジオ
みなさん、ラジオって聴きますか?
私はたまにスマホのラジオアプリを起動して、
なんとなく面白そうだと思った番組を、気まぐれに聴くことがよくあります。
聴き始めるのは大体キリの悪い時間で、
番組をぽちっと押すと、コンテクストの分からない会話がするするとイヤホンから流れてくる。
でも不思議と疎外感はなくて、
ちょっとずつ番組の内容が分かってきて、
なんとなく参加してるような気分になってきて、
あぁ、人の声ってやっぱり落ち着くな。
なんだか電話に似てるな。
そんなことを思いながら聴いています。
ラジオを聴くともう一つ思い出すこと。遠くに住む祖母のこと。
祖母はすでに90歳を過ぎていて、祖父を亡くしてから一人暮らしをしているけれど、未だにピンピンしている。
ご高齢の方にはよくあることらしいけれど、
祖母は夜中に一度は目を覚ます。
夜中に起きたら、ラジオを聴きながらボーっとして、また眠りに就くんだそう。
この番組を聴いている人は、日本中にわたし以外にたくさんいて、
どんな状況であれ、「同じ声を聴いている」という点で共通している。
同じ声を聴いている人それぞれに自分とは違う日常があって、
淡々と日々を生きている。
ラジオを聴くと、祖母を思い出す。
祖母の日々に、眠れない夜に、思いを馳せる。
祖母のことを思い出したついでに、祖母以外の誰かの人生を、想像する。自分以外にも生きている人がいるということを、実感する。
とっても不思議な感覚だけれど。
日常の中では、できるだけ自分のことだけを考えている。
満員電車に一緒に乗っている人それぞれに人生があるなんて考えたら、
想像が追い付かなくて、途端に恐怖を感じてしまうから。
こないだ、ぎゅうぎゅうの電車内で、同じようにぎゅうぎゅうに押されている隣の女性が、携帯の画面を見て泣き始めたことがあった。
静かに、声を押し殺して、泣いていた。
あ、やばい、目の前にいる全く知らない女性の人生の重さに耐えられない、悲しい…
って思っちゃったんだよな…
でもなんだろう、ラジオだけは、
全然関係ない人の生活と自分に、温かくてゆるいつながりがあるような気がしちゃう。
同じ月を見てるねなんて、誰が言ったか分からないけど素敵なセリフ。似た何かを感じる。
とっても不思議な感覚だけれど。ね。
あなたは私と同じラジオを聴いていますか?