5年後のエピローグ
こんにちは。佐倉理恵と申します。
今回は、monogatay.comさんで執筆いたしました『5年後のエピローグ』のあとがきです。
この作品は前作、前々作同様「横浜市西区役所×monogatary.com 読書活動推進コラボプロジェクト」様によるお題「海辺で読みたい物語」に寄せていただいたと共に、前作『遠い日の思い出』の続編となっております。
「横浜市西区役所×monogatary.com 読書活動推進コラボプロジェクト」詳細
前作では男の子側の目線から思い出を詩の形式で振り返っていましたが、今回は海外へ引っ越した女の子が5年の時を経て帰国する物語です。
そして故郷の海へ向かいますが、まずこの「海へ向かう」というところから始まる物語。これは前々作の『目を閉じても 聞こえる海』と同じ構成です。では、なぜ同じような物語を書いたのか。
それは、「海辺で読みたい物語」を考えていたときに、ずっと頭の中に流れていた曲があったからです。それがwacciさんの『インク』という歌です。
なんでこの曲がずっと頭の中に流れてるんだろう? と考えたとき、この歌が「海辺で聴きたい歌だからだ」と気づいたのです。まあ、よくよく考えたら横浜に馴染みのあるアーティストなわけで…………。そりゃ思い出すわと妙に納得しました。
詩の形式で書いた前作、一度小説の形式に戻して続編を書くことも決めていました。そこで、「海辺で聴きたい歌」と「海辺で読みたい物語」を掛け合わせて続編をつくることにしました。
ただ、前々作で「ボックスシート」を使っていたのでボックスシートのくだりは明確にしなかったり、ストーリー上電車から海は見えなかったり、やはり全てを『インク』に重ねるのは違うし選考に障るだろうなと思いましたので、ところどころインクから外したり外れてしまったり。
そして一番好きな歌詞
潮風香る テラス 便箋を伸ばして
読み返してる 私素敵な恋をしてたんだ
読み返して恥ずかしく思うのではなく、「私 “素敵な” 恋をしてたんだ」って、どれだけ彼を好きだったか思い知り受け入れるところ、めちゃくちゃいいですよね。でも、このくだりが好きすぎて一気にインクの世界になりそうだったので、便箋を広げて読み返すシーンは入れたかったので入れましたが、「素敵な恋」という言葉は使わないことにしました。
あ、そしてタイトルの「エピローグ」という言葉も歌詞から取りました。最後に主人公が自分の気持ちに気づいてこの恋に終止符を打ち、次の人生に繋がればいい、つまりは「この恋の」最後の最後(エピローグ)になればいいなという気持ちもこめて。
もしかしたら既存の歌が下敷きとなって書かれた、オリジナルではないとみなされて選考から外れるかもしれませんが、それは審査員の方々の判断に任せたいと思います。
なんだかあとがきらしくなくなりましたね。ただ、うしろめたいのも嫌なのでこれは判断基準の一つにして頂きたく思います。
そしてこのプロジェクトがあったからこそこの作品ができたのも事実です。
「横浜市西区役所×monogatary.com 読書活動推進コラボプロジェクト」様、monogatary.com様、wacci及びチームの皆様、そしてこの作品に目を通してくださった皆様、この度はありがとうございました。
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