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「言葉の壁」を越えて ― 3カ月の物語
〈コンプレックス〉逃げられない言葉
思い返せば、最後の国語の成績は、10段階で2だった。
以来、「日本語を話せる」というだけで、
日本語を「使いこなせる」とは到底思えず、
苦手意識だけが残っていた。
ただ、管理職としてのキャリアも増え、
日本語下手ではいられない。
「もう大人なのだから、ちゃんと学ぼう」
そう思い、ライティングスクールに飛び込んだ。
——が、たった3回目の課題で挫折。
思ったより、ずっと早かった。
書きたいことがあるはずなのに、
文章にしようとすると 何も出てこない。
「言語化する力がない……!」
そんなとき、
ずっと気になっていた「ストカレ」講座の募集が
目に飛び込んできた。
脚本家の先生が直接指導し、添削までしてくれるという。
あぁ!前のスクールも中途半端なのに!!
あぁ!今度こそ書けるのか?できるのか?!
あぁ!埋まっちゃう!
そのとき、ふと もう一人の自分が囁いた。
「やるなら、今度こそ、
全部の課題を期限内に必ず提出すること!」
—— これが、私の新しい「ストーリーへの旅」の始まりだった。
✏️ ✏️ ✏️ 🚢 🚢 🚢
〈発見〉言葉が “シーン” に変わる瞬間
ストーリーの構造がおもしろい。
物語は、まるで「箱」のようなものだった。
出来事を適切な場所に配置し、流れを作っていく。
ハマると、パズルのようにピタッとハマる瞬間がある。
そして、気づいた。
「ストーリーとは、シーンを“魅せる”ことだ。」
誰が、どうなって、何をしたのか。
そこに映像を足すと、ただの出来事がドラマチックに変わる。視点を変え、色をつけ、感情を込める。
「この景色を、どう表現すれば “伝わる” のか?」
考えながら、私は初めて 日本語の奥深さ に
惹かれている自分に気づいた。
これまで、英語の方がシンプルで伝わりやすいと思っていた。
でも、日本語には 微妙なニュアンスの違いがある。
たとえば、同じ「夕焼け」でも——
「燃えるような赤」 なら熱く、
「茜色に染まる空」 なら切なく、
「沈む陽の残り火」 なら哀愁が漂う。
言葉の選び方ひとつで、シーンの温度が変わる。
まるで、肉料理の「火加減」のように——。
夢中になりすぎて、
説明クサくなってしまう時もあるけれど、
絶妙な表現が生み出された時——。
私は、この感覚に夢中になっていった。
⚡️ ⚡️ ⚡️ ⚡️ ⚡️ ⚡️
〈挑戦〉20,000文字の壁
出た!!20,000文字の課題!!
思わず椅子から立ち上がり、モニターに向かって身構えたほど。
「出たな!ショッカー!!」
仮面ライダー本郷猛の気持ちが痛いほどわかる。
でも!!
今回は、絶対にやり切る!!
「提出締め切りの翌日は祝日……
よし、ご褒美にカニ🦀を食べに行こう。
乗り越えたらカニ🦀!!」
そう決めて、毎日のノルマを設定した。
——が、こういうときに限って急な予定が入る。
「ヤバい、間に合わないかも……」
少しずつ遅れを取り戻そうとするが、
これまでの部分が気になり、前へ進めない。
「あと1章」なはずなのに、時間だけしか進んでいない。
⏰ 時計を見たら、もうすぐ22時。
「もう間に合わない……」
「全部書けていないのに、見直しまでして、
チェックまでなんて絶対に無理……」
「もう、やめよう……」
そう思った瞬間——
「いや、0時になるまでは今日!!」
⏰ 23時。
「おかしい……何か表現がおかしい……
でも、どこがおかしいのかわからない……」
「もう無理だ。今の状態で提出するのは、よくない」
「ちゃんと明日、冷静になって見直して提出したほうがいい」
「いや、0時になるまでは今日!!あきらめるな!!」
「ちゃんと提出して、カニ🦀食べに行くんやろ?」
「講座申し込んだ時、決めたやん。期日内に全部出すって」
「カニ🦀、食べにいけへんの?」
——自分が自分にたくさん言う。
「行く…… 出す……」
涙が滲む。
そして、ついに提出。
—— やり遂げた!!!
🦀 🦀 🦀 🚗 🦀 🦀 🦀
〈変化〉読むことで開く世界
その後は、順調に添削 → 修正と進み、
以前の私とは別人のよう。
「おもしろい!」
シナリオライターの先生からのコメントが、
もっと欲しくなる。
ただ、最後の修正確認の手前で踏みとどまってしまった。
なんと!
何を思ったのか、急に電子書籍を書き始めてしまったのだ。
「あれ? なんか、書ける……?」
スラスラと指が動く。
最初はメモ程度だったのが、気づけば文章になり、
物語になり——
そして、気づいたら 40,000文字を超えていた。
「読むことで、書けるようになる」
これまで漫画しか読んでなかった私にとっては、
本の『はじめに』や『おわりに』すら未知の世界だった。
それでも、読むことで、言葉のリズムや
構成が自然と身についていった。
ストーリーテリングを学ぶ中で気づいたのは、
「書くことと同じくらい、読むことが大事」
だということ。
この記事を書いてる今は2月。
ちょうど1年前は挫折して、理由をつけて
挫折からも目を背けていた時期。
人は何歳になっても成長する。
乗り越えようとする限り、成長する。
人生は壮大な自分だけの「ストーリー」
だから、これからも障害は必ず起こるだろう。
でもその先には宝があって、私は必ずそれを持って帰還する。
ストカレに感謝。
ストカレに出会わせてくれた、ものキャンにも感謝。