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黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2021年3月31日 23:33
子を持つことだけが女でなく、新しく何かを育てられるのが女私は慶喜から全権を任された勝を呼んだ。勝は以前のように、頭を畳にこすりつけていない。そのような場合ではなかったのだ。私は手を伸ばせば届く距離に膝を近づいた。勝の顔が白いのは、強く唇を噛んでいることに初めて気づいた。慶喜への怒りで、肩と拳が小刻みに震えているのもわかった。私も慶喜をいくら罵倒しても、し足りない。だが今はそんな時間も惜しい。
2020年10月14日 18:45
幸せは与えられるものではなく、自らが作り出すもの安政四年六月に、家定様が政を任せていた老中の阿部正弘が死去した。その後は同じく老中の堀田 正睦に託した。阿部正弘は、時期将軍争いに関してお義父上様と同じく一橋慶喜様を押す一橋派だった。彼を失った一橋派は、力を弱めていった。今まで一手に政権を握っていた阿部正弘を失ったことで、幕府の吸引力は低下し、これまで影に潜んでいた家定様も、表舞台に出
2020年10月11日 13:02
愛は態度だけでなく、言葉でも伝えたいこの時から、私は心から望んだものができた。家定様とのお子だ。私と家定様とのお子が産まれ、その子が男子であれば将軍の跡継ぎについて何の問題もなくなる。もし私にお子ができれば、家定様も未来に希望が持てるのではないか、と思った。「のう、幾島。もし私と上様の間にお子ができたのなら、義父上様も一橋慶喜様を推さず、私達の子を時期将軍へと推して下さるのではない