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黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2021年4月1日 22:41
江戸城を開け渡す四日前、ようやく新しい家が決まった。大奥で働いていたたくさんの女達は、実家に戻るか、新しい居場所を見つけ出て行った。滝川を始め、ほんの数名だけが最後まで私と共に大奥に残った。静寛院宮様とは別々の屋敷で暮らすことが決まり、大奥の終焉はすぐそこまで近づいていた。静寛院宮様は江戸城明け渡しの前に引っ越すことになった。荷造りが終わり、お迎えを待つばかりの静寛院宮様を部屋に招いた。これま
2021年3月31日 23:33
子を持つことだけが女でなく、新しく何かを育てられるのが女私は慶喜から全権を任された勝を呼んだ。勝は以前のように、頭を畳にこすりつけていない。そのような場合ではなかったのだ。私は手を伸ばせば届く距離に膝を近づいた。勝の顔が白いのは、強く唇を噛んでいることに初めて気づいた。慶喜への怒りで、肩と拳が小刻みに震えているのもわかった。私も慶喜をいくら罵倒しても、し足りない。だが今はそんな時間も惜しい。
2020年12月3日 19:45
自分から開くことで、人を開いていける 慶喜の逆襲を怖れていた西郷の前に現れたのは、勝海舟だった。勝は江戸城で大阪から逃げ帰った慶喜に呼ばれた。当初勝は、皆を置き去りにし自分だけ戦場から逃げ帰った慶喜に激怒していた。慶喜は勝に、お前しか頼れるものがいない、と頭を下げ、彼の怒りを治めた。その結果、二月に慶喜は勝にこの状況の取りまとめを頼み、自分は上野の寛永寺大慈院に引きこもり、謹慎して朝廷に従う意