マガジンのカバー画像

運命を開き、天命を叶えるガイドブック

30
運営しているクリエイター

#連載小悦

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二十六話 この国の女たちがもっと自由に羽ばたき、愛するために開く

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二十六話 この国の女たちがもっと自由に羽ばたき、愛するために開く

江戸城を開け渡す四日前、ようやく新しい家が決まった。大奥で働いていたたくさんの女達は、実家に戻るか、新しい居場所を見つけ出て行った。滝川を始め、ほんの数名だけが最後まで私と共に大奥に残った。静寛院宮様とは別々の屋敷で暮らすことが決まり、大奥の終焉はすぐそこまで近づいていた。
静寛院宮様は江戸城明け渡しの前に引っ越すことになった。
荷造りが終わり、お迎えを待つばかりの静寛院宮様を部屋に招いた。これま

もっとみる
「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二十五話 子を持つことだけが女でなく、新しく何かを育てられるのが女

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二十五話 子を持つことだけが女でなく、新しく何かを育てられるのが女

子を持つことだけが女でなく、新しく何かを育てられるのが女

私は慶喜から全権を任された勝を呼んだ。
勝は以前のように、頭を畳にこすりつけていない。そのような場合ではなかったのだ。私は手を伸ばせば届く距離に膝を近づいた。勝の顔が白いのは、強く唇を噛んでいることに初めて気づいた。慶喜への怒りで、肩と拳が小刻みに震えているのもわかった。私も慶喜をいくら罵倒しても、し足りない。だが今はそんな時間も惜しい。

もっとみる
「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二十四話 自分から開くことで、人を開いていける

「ソウルメイト・ドラゴン~篤あっつつ~」第二十四話 自分から開くことで、人を開いていける

自分から開くことで、人を開いていける

 慶喜の逆襲を怖れていた西郷の前に現れたのは、勝海舟だった。勝は江戸城で大阪から逃げ帰った慶喜に呼ばれた。当初勝は、皆を置き去りにし自分だけ戦場から逃げ帰った慶喜に激怒していた。慶喜は勝に、お前しか頼れるものがいない、と頭を下げ、彼の怒りを治めた。その結果、二月に慶喜は勝にこの状況の取りまとめを頼み、自分は上野の寛永寺大慈院に引きこもり、謹慎して朝廷に従う意

もっとみる