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黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2020年9月12日 20:23
女で生きていく覚悟を決める突然天秀尼を失った私は、片方の翼をもがれた鳥のようにエネルギーを失った。彼女がいたからこそ、共に手を取り合い、女性の救済に向けて力を注げた。その場所として東慶寺だった。私と彼女は母と娘というだけでなく、同じ志を持つ同士としての絆でも無すまれていた。かけがえのない同志を失ったのは、夫や子を失った時とはちがう、帰る家を失った子供のように寂寞とした気持ちだった。彼女
2020年8月30日 16:38
愛は試すものではない私は幸せだった。忠刻ダーリンや、熊ママや本多パパも幸せだったと思うの。この時期、姫路城は喜びと愛と光に満ちていた。姫路城下の民達も、城の外で私達の行列に出会うと、あたたかいまなざしを送ってくれた。播磨の地はいくつか細かい争いはあったものの、穏やかで作物も豊かに実る良き国だったの。それはきっとこの土地の神様が、私達をあたかかく受け入れてくれたからだと思うわ。だか
2020年8月29日 16:08
自分だけでなく、大切な人達のために強くなるその頃、私は姫路の民たちから「播磨姫君」と呼ばれているのを知って、くすぐったく思った。けれどそれは播磨の地に受け入れられたことだと思い、誇らしくも思った。その地で妊娠した私は嬉しさより、戸惑いの方が大きかった。以前の結婚で妊娠と流産を味わい悲しい思いをした私に「妊娠」は必ずしも喜ばしい出来事ではなかったの。もし、また流産したらどうしよう、そんな