シェア
黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2020年8月29日 16:08
自分だけでなく、大切な人達のために強くなるその頃、私は姫路の民たちから「播磨姫君」と呼ばれているのを知って、くすぐったく思った。けれどそれは播磨の地に受け入れられたことだと思い、誇らしくも思った。その地で妊娠した私は嬉しさより、戸惑いの方が大きかった。以前の結婚で妊娠と流産を味わい悲しい思いをした私に「妊娠」は必ずしも喜ばしい出来事ではなかったの。もし、また流産したらどうしよう、そんな
2020年8月27日 15:54
見つけ、選び、決め、覚悟する私の結婚の裏側で密かに起こっていたことは、後に「千姫事件」と呼ばれる出来事だった。私は一歩間違えば、略奪される花嫁になるところだった!あとでこの話を聞き、心底ぞっとして震えた。「ああ、私、神様を味方につけておいてよかった・・・」神様は私の味方、昔そう決めた自分を褒めたわ。千姫事件の首謀者は、おじいちゃまが私との結婚を反故にしたあのおっさん、坂崎直盛だった
2020年8月1日 17:47
たくさん恋をするために、生まれてきた騙されてばっかりで、生きてきた気がする。大阪城から外の景色を眺め、ため息をついた。運命に流されてきた、という言い方もできるな、長い髪の毛を左の人差し指に巻きつけ、つぶやいた。そんなわたしを見て、千姫様、お行儀が悪いです!小さな声で乳母の刑部卿局がにらむ。あ、もうめんどくさー!わたしはクルリと外に背を向け、頬をふくらませ部屋に入った。わたしが部屋に入る