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黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2020年9月5日 18:00
この世に生まれ、生かされている意味は何?江戸に来て二年後、娘勝姫の結婚が決まった。十一歳の勝姫はパパの養女という形を取り、池田光政様に嫁いだ。片親だけど娘をちゃんとお嫁入りさせ、さみしさもあったけれど母親としての責務も果たし、肩の荷を下ろした安心感もあった。勝姫の嫁入り先はなかなか難しかった。片親と言っても、あの子は二代目将軍の孫で現将軍の姪でもあるから、下手な所には嫁入りさせられない。
2020年9月4日 17:55
今この時、やりたいことをやる江戸に帰ってきた。十年ぶりの江戸は、人も町もわいわい活気があってビックリした。のんびりした播磨や播磨弁に慣れていた勝姫は、人の多さや言葉のちがいに目を真ん丸に見開き、首をあっちこっちに向け興奮していたわ。その様子がおかしくて抱きしめたいほど可愛くて、クスクス笑ってしまった。勝姫はそんな私におかまいなく、真っ赤な頬で外の景色から目を離さず言った。「お母さま、
2020年8月21日 16:04
私の人生はもう一度、ここから始まる「お、おじいちゃま、それは・・・・・・あの坂崎なんとかという五十代くらいのおじさんでしょうか?」ドンピシャ思い当たる人物を思い浮かべ、恐るおそる尋ねてみた。おじいちゃまは「しまった」という渋い表情で、肩をすくめてうなずいた。その顔に、後悔先に立たず、と書かれていた。「な、なぜに?!」私はあっけにとられた。「すまん!千!!」おじいちゃまは、またわた
2020年8月20日 16:45
恋は落ちるもの奈阿ちゃんを東慶寺に預けたことで私はホッとしたのか、熱が出て寝込んでしまった。秀くんと、大阪城を失った私の心と身体のダメージは大きかった。私は高熱の中で、燃える大阪城を何度も見た。鳥かごの中で交わした秀くんとの最後のキス。一人鳥かごを出たわたしは、鳥かごの中に残っている秀くんに「逃げて!」と叫んだ。でも秀くんはフリーズしたように動かない。私はがんがん鳥かごを揺さぶり、鍵を探