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黄金の荒野を拓く@宇宙ビジョン作家人響三九楽(ヒビキサクラ)
2020年8月27日 15:54
見つけ、選び、決め、覚悟する私の結婚の裏側で密かに起こっていたことは、後に「千姫事件」と呼ばれる出来事だった。私は一歩間違えば、略奪される花嫁になるところだった!あとでこの話を聞き、心底ぞっとして震えた。「ああ、私、神様を味方につけておいてよかった・・・」神様は私の味方、昔そう決めた自分を褒めたわ。千姫事件の首謀者は、おじいちゃまが私との結婚を反故にしたあのおっさん、坂崎直盛だった
2020年8月23日 15:42
それを、ご恩送り、という私の気持ちを確認した刑部卿局の動きは、目を見張るほど早かった。おじいちゃまに私と公家とのご縁つなぎをストップしてもらい、おじいちゃまの孫で私の従姉になる忠刻様のお母様、熊姫様に話をした。熊姫様は「願ってもないご縁です!」と、積極的にこの話を進めて下さった。もちろん、忠刻様のご意思を確認済みの上でね!刑部卿局がしみじみ言った。「忠刻様も初めて船の上で姫様に出逢って
2020年8月22日 15:26
今すぐ幸せになるおじいちゃまに啖呵を切った私は、自分の部屋に戻り窓から秋の澄み切った空を眺めた。のびのび広がる雲を見ていたら、いつの間にか彼の顔が浮かんだ。もし、もう一度結婚するなら、あの人みたいな男子がいいわぁ~あの人って言うのは、ほら、桑名の七里の渡し船で出会ったイケメンの彼。彼と一緒なら、私は笑顔でいられそう。あの彼、本田忠刻さん、今どうしているのかしら。そんなことを雲のま
2020年8月21日 16:04
私の人生はもう一度、ここから始まる「お、おじいちゃま、それは・・・・・・あの坂崎なんとかという五十代くらいのおじさんでしょうか?」ドンピシャ思い当たる人物を思い浮かべ、恐るおそる尋ねてみた。おじいちゃまは「しまった」という渋い表情で、肩をすくめてうなずいた。その顔に、後悔先に立たず、と書かれていた。「な、なぜに?!」私はあっけにとられた。「すまん!千!!」おじいちゃまは、またわた
2020年8月14日 20:32
自分がゴールを決めたら、運命が勝手にわたしを運ぶはず徳川との和睦が終わり、条件通り大阪城の外堀を埋める工事が終わった。「外はワイワイガヤガヤ賑やかね」そう刑部卿局に話しかけたが、彼女はわたしの言葉が聞こえていないように何かを一心に考えている。わたしが彼女の目の前で手を振って、ハッ!と我に返り「どうかいたしましたか?」なんて言うの。最近の彼女はどこか、おかしい。沈んだ顔をして無口かと思うと、
2020年8月13日 20:34
運命は自分の思いで、変えられるその年の十一月、ついに徳川と豊臣の戦いが始まった。初めは徳川が有利だったけど、真田丸で豊臣はよく踏ん張った。わたしはもちろん豊臣の応援をしながらも、心のどこかでおじいちゃまやパパやママ、弟達のことを考えていた。わたしは城の中でオロオロしながら、自分の身体が二つあれば、いいのに!わたしが二人いれば、いいのに!そうしたら心置きなくわたしの思いを分け、そこにい