1分で話せ
実際のところは、そうとは限りません。
…というか、ほとんどのケースで、自分の話は聞いてもらえなかったのではないでしょうか?
伊藤羊一さんの「1分で話せ」は、自分の主張を相手にしっかり伝え、理解してもらい、動いてもらうための本です。
動いてもらう
仕事の上での「伝える」ということの最終目的は、「動いてもらう」ことですよね。
わからないので教えてほしい
仕事が終わらないので手伝ってほしい
部長に話を通してほしい
プロダクトの機能追加をしてほしい
決めたプロセスを実践してほしい
セキュリティ研修をうけてほしい
などなど。
「伝える」だけだと「なるほど」で止まってしまいます。
聞き手を動かすためには、左脳でロジックを理解してもらった上で、右脳に働きかける必要があります。
「伝える」のゴール
「伝える」のゴールは「理解してもらう」ではなく、その先にある状態です。
伝えた後に、聞き手にどういう状態になっていてほしいかを決めておくことが重要です。
例えば、相手に対して「セキュリティ研修を受けてほしい」のであれば、「セキュリティ研修を受けないと後で自分が困ることになるから受けなきゃ」と相手が思っている状態に持っていく必要があります。
そこから逆算して、左脳と右脳に訴えかけます。
ロジック
ロジックの基本構造は、ピラミッドストラクチャーと呼ばれるものです。
(ロジカルシンキング本に書いてあるアレです)
結論をピラミッドの頂点に置き、その下に根拠を並べて土台を作ります。
結論は、主張と言い換えてもいいかもしれません。
相手を動かしたい方向にあわせた結論・主張をピラミッドの頂点に置きます。
「それはわかってます」という方は多いと思いますが、日本人は他の人に配慮するあまり、結論・主張を明確にしないでボヤかすクセがあります。
私もその傾向がめっちゃあります。
なので、何かを伝えようとするときは、「結論・主張を明確にしておく」ということを結構しっかり目に意識したほうが良さそうです。
枠組みの共有
ピラミッドストラクチャーを作る理由は、相手に考える枠組みを共有するためです。
例えば、「理由は三つあります」と言うと、「なるほど理由が三つあるのか」「いまから三つを順に話していくんだな」と聞き手が準備をします。
聞き手は、頭の中に、以下のような枠をつくります。
1:「 」
2:「 」
3:「 」
これから始まる話の行き先がわからないと、聞き手は「これいつ終わるんだっけ」という状態になってしまいます。
そうならないように、大枠の構造を聞き手に移植することが重要です。
イメージしてもらう
右脳に働きかける際には、相手にイメージしてもらうことが大切です。
ビジュアルは、このイメージしてもらう上で効果を発揮します。
例えば「緑豊かな未来都市」と書くよりも、画像があったほうがイメージしやすくなりますよね。
マンションのチラシでも「駅から徒歩5分」「ハイグレードな設備」「ラグジュアリーな暮らし」と書かれているよりも、鳥瞰図や内装の写真があったほうがイメージがつきますよ。
概念的なものを説明する際には、具体例をあげます。
「働きやすい会社」という言葉は、様々な解釈が可能ですし、「働きやすさ」は人によっても様々です。
「フルリモート」「平均の残業時間は一日30分以下」「有給取得の理由や時季は自由(これは当たり前だけど)」などの具体的な内容のほうが、自分の働き方とマッチしているかイメージしやすいでしょう。
ピラミッドストラクチャーでは「結論・主張を頂点に、根拠を土台に」と書きました。
その根拠を補強する形で、具体例を使うとよさそうです。
他にも様々なナレッジが書かれている書籍です。
めちゃくちゃ評判もいいですし、読みやすい書籍でした。
特に「動いてもらうことがゴールだよね」ということは、ついつい忘れてしまうので、しっかり意識できるといいなぁと思います。