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モンゴル前編 #16 買った馬との初対面!
朝、6時すぎに目が覚めた。
まだ少し体が痛む。
既にミルカと父親は外に出ているようだった。
少し寝すぎたかなと反省しつつ、ミルカのお母さんに勧められたお茶とパンを食べていると勢いよく玄関のドアが開いた。
まだ早朝というのにやたらと元気で嬉しそうな顔のアスカだった。
「おはよう!よく眠れた?たいとの馬を連れてきたよ!」
自分の馬と会いたかったけど、こんなに不意打ちで会えるとは!!
食べかけのパンを口に詰め込んで外に出てみると、ミルカとお父さんが茶色の馬と黒い馬を引き連れていた。
両方、大きくて立派な馬だ!
西には大きな馬がいるとは聞いていたけれど想像以上に立派な馬で一気にテンションが上がる!
と、深刻そうな顔でお父さんがアスカに何か話し始めた。
おそらくカザフスタン語のようだ。
アスカが一通り聞き終わり、モンゴル語で通訳を始めた。
「茶色の方は扱いやすくてすごくいい馬だけど、黒い方は少し扱いが難しいから交換も考ないといけないかも」
『こんな立派な馬なのに勿体ないな』という気持ちが強くて、ウマオに乗ってある程度の自信はついていたし、とりあえず乗ってみることにした!
最初にナメられると言うことを聞かなくなるかもしれない。
気持ちで負けないように『絶対に乗りこなしてやる』って気合を入れてから鞍を持って一気に跨った!
と、乗った瞬間、いきなり暴れ始めた!
首を振りながら全速力で走ろうとする黒馬の手綱を引いて、なんとか抑えて落ち着かせる。
少しずつ落ち着いてきて走ろうともしなくなってきても、油断するとすぐに走ろうとしたり暴れたりする。
とりあえず慣らすためにも町の中をゆっくり周ってみても、正直モンゴル人でも乗るのが難しいと言われていたウマオと同じくらいのレベルで難しかった。
前回の馬旅と違って、今回は首都ウランバートルから2000km以上離れた地方を旅しなくてはいけない。
もちろん車もほとんど通らないし、道路すらない。
馬に逃げられたら、それこそ死ぬ可能性だってある。
ウマオの時に扱いづらい馬の大変さは痛いほど理解していたから、せっかくの立派な馬だったけど交換することにした。
ミルカのお父さんが使っている馬は小さいけどすごく扱いやすいから、一回乗ってみてくれと言われ、近くの草原から連れてきてくれた。
確かにさっきの馬よりも2回り程小さい。
正直、この馬で大丈夫なのかな?と不安になりつつも、乗ってみると全く暴れず、日本にいる乗馬クラブの馬のようだ。
すごくいい馬なのは分かるんだけど、どうしても体格の小ささが気になる。
「大きくて扱いやすい馬はいない?」と聞いてみたけど、この町の辺りで馬を飼っている人がほとんどいないらしい。
体力面で言えば難易度の高いさっきの馬。
扱いやすさで言えば今乗った小さい馬。
悩みに悩んだけど、これから2ヶ月も一人で旅することを考えると扱い辛い馬は致命的だなと判断。
1頭でも手を焼いているのに、明日からは1頭に乗りながらもう1頭の手綱を引いて、2頭同時にコントロールをしなくてはならない。
さすがに厳しいと思って、小さい馬を荷物メインで連れていくことにした。
フィーリングで、大きな茶色の馬をジョナサン、小さくて黒い馬をクロと名付けた。
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ジョナサンもクロもとても扱いやすくていい馬だ。
明日の出発に向けて2頭に乗って慣らしていると、アスカが「馬用のバックないなら作っちゃおう!」と言ってくれた。
市場で布を買って、普段は服や帽子の縫製の仕事をしている妹さんのところでバッグを縫ってもらった!
縫製場で働いていた他の人達も、「一人で横断なんてすごい!少しでも手伝えて誇りに思ってる!」と励まして握手してくれた!
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バッグもなかなか良い出来だ!
その後は、ジョナサンとクロに蹄鉄を打つ為、アスカの知り合いのおじさんの家に向かった。