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【12日目】モンゴル最大祭り「ナーダム」

朝、8:00に起床。
千夏さんから電話がかかってきて、現在地と馬の状況の報告をしてたり、朝ごはんを食べているうちに10:00になってしまった。

昨日は寝てたから全然気づかなかったけどおじさんにも1歳になる女の子がいて、ちょっとしたことで笑ってくれるしすごく可愛い子だ。

朝からやたらと騒がしく、親族の人たちがどんどんゲルに集まってきて、馬に飾り付けをしたり、子供たちが衣装を着こんだりしてドタバタしている。

「今日って何かあるの?」
「今日からナーダムが始まるんだよ!知らないのか!?」

馬の事で頭が一杯で完全に忘れていたけど、今日からモンゴルで最大の祭り「ナーダム」が開かれるんだった!
ナーダムとは、毎年7月にブフ(モンゴル相撲)・競馬・弓射の3つの競技で競い、モンゴル全土で一斉に3日間ほど開かれるお祭り!

この家の親戚の子供は競馬に出るようで、少し緊張しているようだった。
荷物をまとめていると、みんなから「一緒にナーダムを見に行こう!」と誘われた。

日程的には余裕がないけれど、既に10:00を回ってしまったし、せっかくのナーダムだから一日だけ見ていくことにした!

最初はおじさんの子供も一緒に車で競馬場に行き、親戚の子供が出る予定の競馬を観戦することに。

おじさんの奥さんと1歳の子供

競馬場といっても何があるわけでもなく、ただの草原が広がっているだけ!

子供たちはなんと裸馬に跨り、鞭を片手に30kmもの長距離を全力疾走をする!
みんなこの日の為に馬を調整したり、子供たちは練習したりしていて、会場のみんなの顔つきは真剣そのものだ。

親戚のおじさんが最終調整が終わったようで、子供と馬を会場まで連れて行く!
まだ子供は固い表情だったから、「応援しているから頑張ってね!」と声をかけると、「頑張ってくるから見てて!」と、はにかんで笑顔を見せてくれた!

真ん中が親戚の子供

自分たちは適当な草原に車を止めて、スタートを待つ。
30kmも先から始まるから、スタート地点は見晴らしの良いところからでも全く見えないw

おじさんの電話が鳴ってそれを取ると、「始まったぞ!」とみんなに教えてくれた。
しばらく見ていても何も見えないから、近くでショルログ(羊肉の串焼き)を売っている場所を探してみた!

案の定、近くの車で売っていたので即買い!
一年ぶりのショルログにテンションが上がりつつ、食べてみるとやっぱり美味しかった!

普通のモンゴル料理って調味料が塩だけしかない味のものが多いんだけど、このショルログって唐辛子がかかっていて、ピリ辛のスパイスと羊の旨みがいい具合にマッチしてすごく美味しい!

一年前はモンゴル料理があまり好きじゃなくて、塩と小麦の味付けに飽きていた時期にこのショルログに出会ったから、かなり救われた思い出がある。

あんまり普段は見かけないんだけど、ナーダムの時は至る所で売っているから、今日はそれを少し期待してきたw

串を4本ほど食べたところで、地平線上に土埃が立っていることに気付いた。
「あれかな?」と聞いてみると、「おー!来た来た!あれだ!」と一斉に注目!

土埃はどんどん近づいてきて、先頭の子供が目の前を通りすぎると、次々に数百人単位で馬がきて、もう誰が誰かわからない!w

途中で落馬した子もいたのか、時々乗り手のいない馬も混じっている。
その中から親戚の子を必死に探していると、おばさんが「いたいた!」と興奮気味に声をあげて指さしてくれて、確かにそこには親戚の子がいた!

順位としては中間くらいかな。(遠すぎて写真が取れなかった。。。)
他の子と同様に少し苦しそうな表情をしながら前に集中していて、こっちの声援は全く耳に入っていなさそうだ。

ゴール地点に車で移動して、親戚の子を待っていると、やっぱり中間くらいでゴールに入ってきた!

会場では上位の子供たちは札を持った大人に馬を捕まれていて、その他の子供たちは親の到着を待っているようだ。

苦しくも悔しそうな顔をした子供を、親戚のおじさんが「よく頑張った」と力いっぱい抱きしめた。

子供は今にも目から溢れ出そうな涙を必死に堪えていて、もらい泣きしそうになった。
よっぽどの努力をしてきたんだろうな。

馬を急に止めると心臓に悪いから、しばらく引馬を手伝ってから、ブフの会場に移動した。

ブフ(モンゴル相撲)とは、簡単に説明すると、手をついても負けにならず、土俵のない相撲!

人だかりの中ではモンゴルの伝統衣装を来た人たちが1対1で戦っていて、それが10組ほど等間隔を空けて組み合っていた。
まわりで観戦している人たちは、ウォッカ片手に熱い声援を送っている!

初めてきちんとブフを見たけど、すごい迫力だ。



しばらくあっけに取られているとおじさんが次々に友達を連れてきた!
みんなに自己紹介をすると、外国人が珍しいようで、「日本って本当に電車に人がいっぱいなの?」やら「ナルト好き?」やら、ひたすら質問攻めにされたw

しばらく一緒にブフを見ながら色々と話していると、友達のうちの一人が「腹減ったか?飯屋に連れてってやるよ!」とバイクを親指で指さしながら言ってきた。

確かにお昼時だし、ちょうどお腹も空いてきた頃だった。
「ありがとう!」と言って、そのバイクの後ろに跨った!

そういえばこっちの人たちは、舗装されていない草原で80kmちかくも平気で出してるのにヘルメットを被ってる人を見ないなー
体が頑丈そうだし、転んでも受け身を取れれば大丈夫なんだろうな!

町の中の飯屋について、ホーショール(肉入り揚げパン?のようなもの)を4つ頼んだ。

こっちが食べている間、おじさんは何も食べずに馬のこと、オオカミのことを色々と話をしてくれている。

いざ、お店を出ようとした時にお会計でお金を出そうとしたら、おじさんが怒り始めた。

「ここは俺の国だ!だから俺が払うんだ!」
「いや、ここまでバイクで連れてきてもらったから払うよ!」
「ここで俺が払わなければモンゴル人として恥ることになる!」

どうしても受け取ってくれず、結局奢ってもらってしまった。。。
だからせめてものお礼として、おじさんや友達と合流した時にウォッカを一瓶差し入れて、みんなで回し飲みをした。

奢ってくれたバイクのおじさん

その日は夜までどんちゃん騒ぎで、おじさんの1歳の子供もかなり懐いてくれて嬉しかった!

クロとジョナサンは近所の子供が翌日に競馬に出るらしくて、自分らの馬と一緒に夜の間中ずっと見ててくれた。

夜は空き家のベッドで寝かせてもらえることに!
久しぶりのベッドは、ボロボロでスプリングが飛び出ちゃってたけど、めっちゃ気持ちよかった!

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