【番外編】ちょっと古いMacを便利に使えるようにいじってみたら大変だった件
※「note」は出版関係などの読者も多いということで、Facebookのnoteに書いたものの転載+加筆です。ごく一部の旧環境を維持したいMacユーザーには、お役に立てる情報かもしれません。
ただし、How-Toや手順ではなく、実際に起きたトラブル、大混乱をそのまま文章で追いかけていますので、読みづらいと思いますが、その辺はご容赦ください(たぶん同じことをやろうとする方は、全く同じ道を辿るため、あえてそうしています)。
先日、某所パソコン屋で、中古のiMac mid 2011、21.5インチがなんと3万5000円で売っていました。で、こいつが只者ではない……CPUが標準のCore i5ではなくCore i7(第二世代 Sunday bridgeですが)2.8GHzのクアッドコア、ハードディスクは500GBの新品SSDに換装済み、というものでした。
当然ながら、最新OS 10.14 Mojabe にはできず、ひとつ前の10.13 High Sierra まで。さらにサービス・ステイタスもVintage(保証期間終了。直せる部分は直すけど保証はできません)で、ユーザーを選ぶというか……まぁ、わかってる人にしか扱えないヤツ。
悩むところではありますが、この型は個人ユーザーが内部のハードディスクやメモリを交換できるモデル(2012年以降、Appleは一部のプロ向き製品を除き、メモリ増設すら不可能な製品に切り替えています)です。さらにメモリも公式には4GB x 4枚の16GBですが、実際は各スロット8GBまで認識できて、32GBまで増設可能になっています。
また、オリジナルのOSは10.6 Snow Leopard 。つまり、CPUがインテルになる前のPower PC向けアプリも一部、動く可能性がある……と。
これは! 買うでしょう(買いました)。
で、目標は10.13 High Sierra と10.6 Snow Leopard のデュアルブート、現状で最新のMac用アプリと、Power PC 時代の遺産や、意外に使いやすかったiLife '09を1台のマシンに同居させようという無茶な計画が始まった、というわけです。
●無駄骨に終わった第一段階
OS 10.13 High Sierra は初めから入っていましたし、このOSでは起動した状態でパーティションを設定できます。なので、サクッとOSX 10.6 Snow Leopard のスペース、ファイルデータ交換用のスペースに割って、新しいアプリケーションのダウンロード、データ移行などをサクサクと進めます。待ち時間はあれど、どこにも支障はありません。
しかし、iMacのTキーを押しながら電源投入=ターゲットディスクモードで起動し、FireWire 800(IEEE1394)ケーブルでストレージとしてマウント。10.6環境をコピーしようとした時に大問題が発生しました。そうです。ディスクのフォーマット形式が根本的に違うのです。MacBook ProのOSX 10.6はiMacのSSDをデスクトップに表示すらしません。
うむ、そうきたか……ということで、ディスクユーティリティで確認すると一応、iMacのSSDそのものは見えましたので、中を全削除してフォーマットからやり直しです。
長年訓練されてきたMacユーザー(笑)はこの程度では動じません。しかし、その先には、まだまだ長い道のりが待っていたのです。
●第二段階は完全な予想外
調べてみると、旧フォーマット(MacOS拡張)でもMacOS 10.13はインストール可能とのこと。それはそうですね。バックアップしてクリーンインストールできる人ばかりではない。上書きアップデート・ユーザーが困ってしまいますから。
というわけでMacBook Pro側からSSDを再フォーマット、新・旧・ファイル交換3つのパーティションに切ります。ファイル交換用のスペースがシステム上、最小で32GB程度というのがちょっと多すぎですが、まぁなんとか500GBを分割して必要なスペースを割り付け、旧OS用のスペースに、OSX 10.6環境と必須の仕事関連データを1時間以上かけてコピーします。
で、新OS用の場所にも10.11 El Capitan 環境とデータをコピーし、完了後にMacBook Proから切り離し、改めてiMac単体で起動。あとは10.11を10.13にアップデートするだけ!
もちろん、もはや自動アップデートはしない(ここはトラブルに数えません!)ので、検索して、Appleのサイト内のダウンロードリンクからアップデートすることになるわけですが。これでOK! と思ったら見事にアップデート失敗するじゃないですか。
一回目「まぁ、ままあることよ」
二回目「なんで?」
三回目「え、え、え???」
ここで「あること」に気づいていれば簡単だったのですが、何か設定その他、アップデートを邪魔しているものがあるのではないか? とか余計なことを考えたのです(これは、むしろ慣れているだけに……。特にそれらしい指示や警告も出ないんですから)。
ということならば奥の手。もう一度、パーティション内のデータを全削除して、OSX 10.6のクリーン・インストールから、暫時OSを上げていこう、これならトラブルはないだろう! と思い立ったのです。
●第三段階:ビープ音パニック!
抽出しの中からOSX 10.6のインストール・ディスクを探し出し、iMacのスロットに挿入。このへんはもう手慣れたもので、鼻歌気分でCキーを押しっぱなしにして、ディスクから起動! これで普通のクリーンインストール作業をすればいいわけで。
と思ったら、起動しないどころか
「ポェェェェェ! ポェェェェェ!」
と凄まじいビープ音の嵐。もうね、どんなに落ち着こうと思っても、音で煽られちゃうとパニックですよ。
起動できていないのだからと、反射的にディスク排出キー長押し……でも出てこない。何度試しても、全く無関係に大きなビープ音が途切れず鳴り響くだけ。
「ポェェェェェ! ポェェェェェ! ポェェェェェ!」
数分経ったところで少し冷静になり、電源長押しで強制終了。やっと音も止まりました。もう少し小さい警告音ならこんなにはならなかったのに。
そこで、ディスクのパッケージを見たら「OSX 10.6.3」…そう、このiMacのオリジナルOSは10.6.6なんですね。起動できないわけです。
……詰んだ。真っ白に。
この10.6 Snow Leopard のディスクは、昨年MacBook Pro 2009を入手した時に買ったもので、要は最終盤なんです。それが10.6.3、ということは、改めて10.7 Lion のディスクを買うしかないのか。これはまた面倒な、そして使わないOSを買うという無駄な出費が。いや、それはマジで無駄でしょう。
●やり直しの第四段階
こうなればOS 10.11 El Capitan で使うか……。とりあえず全消ししたデータを再びコピーします。バックアップ用アプリを起動して、コピー完了まで、三たび1時間以上放置。
そこでふと「一か八か、OS 10.11から10.12、10.13って上げていけば、アップデートできるんじゃね?」と思い至ったりします(何をいまさら……ですけど、10.11は10.6から間をスキップしてインストールできるんで、10.12もスキップできると思い込んでいたわけです)。
Mac OS 10.12 Sierra を検索、アップルのサイト内からダウンロードしてアップデート。問題なく成功。さらに同様の方法で10.13 High Sierra へ。これも今までの苦労が嘘のようにあっさり成功。
なんだ、そういうことか(警告ってか案内を出してよ!)。
アップデートが終わればこっちのもの。すでに10.11ではApp Storeから利用できないバージョンになっていたApple製Office系アプリ、Pages(縦書き可能)、Numbers、Keynoteを入れ、iMovieほかを最新にアップデートし、ついに、目標到達です。
「10.6からのクリーンインストールをしよう!」などと先に思いついていなければ、そのままできたのに、中途半端に慣れてるんで、余計な遠回りをしました。
※ただ、ひとつわかったのは、作業用として10.4や10.5のPowerPC環境を、10.6環境である程度再現しようと、古めのIntel Macを買うとき(要はPowerPC機が経年劣化で壊れた場合など)は、付属のOSインストールディスクか、最終である10.6.8の環境をすでに持っていない限り、オリジナルのOSが10.6.3未満のモデルでないと買ってはいけないということですね。2010年モデルあたりが境界線(初期型と最終型で違うものがある)でしょうか。
また、10.6対応のインターネットブラウザ、セキュリティソフトなどなどは、すでにサポート外の状態ですので、日常的に使う場合は、ネット接続には問題ありです。
●これで完成……なのかな?
これでまぁ、10.13 High Sierra と10.6 Snow Leopard のデュアルブートという、誠に贅沢なのか面倒なのかわからないマシンができました。いや、できたんですが、未だにひとつだけ、問題があります。
10.6側からは10.13の起動ディスクを認識できません。よく見ると10.13はアップデートに伴って新フォーマットになっていました(10.6のデスクトップにもパーティションごと表示されません)。なので一度シャットダウンをし、optionキーを押しながら電源を入れ、起動ディスクを選択する必要があるのです。
あと、10.13のシステム環境設定から切り替えた時に起動ディスクが10.6に固定されるので、10.13からの起動に戻したときは、もう一度システム環境設定で10.13起動に固定し直す必要もあります。これ、年中やる作業ではありませんが、地味にめんどくさいことです。
でも10.6の環境では、あの懐かしいドローソフトExpression 3.3 (Microsoftが開発元のクリーチャーハウスを買収したときに「これはいらない」と言って無料でばら撒いたやつ)は動きますので、地図のトレスのような作業は以前同様にかなり短時間で可能です。サンプルのホームページを作るような、HTMLエディタ関係も普通に動作しています。旧いAdobe製品(CS2)で印刷屋さん対応も問題なし。簡単なイメージ楽曲は旧版のGarageBandでいけますし、4KでなければiMovieも旧版の方が使いやすい印象さえあります。
むしろ、これらがCore i7、21.5インチ・フルハイビジョンで動かせるというのが、もう快適そのものです。メモリは今のところ、32GBまで上げず、24GBで様子を見ようかなと思っていますが、それでもOSX 10.5、10.6時代からすると夢のようなスペックです。
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とりあえず、これであと数年=このiMacのハードウェアが壊れるまで、付き合ってくれる、でしょう(単純なベンチマークのデータで比べると、Core i5モデルとの比較なら最新の第8世代以外には負けないパフォーマンス、のはず)。
仕事上の都合でOSX 10.6環境を残したい方のためだけという狭いユーザー向けの記事ですが、お役に立てれば……ということで長めのメモでした。(了)