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『イノセント(無垢)というタイトルのヤバすぎるアルバム』
本日2023年2月1日。
ついに発売日がやってきた。
ついに世に出てしまったのだ。
恐らく、ここ10年で最も“ヤバい″アルバムが。
スガシカオさんの約4年ぶりのニューアルバム『イノセント』である。
“イノセント″という言葉を聞いて、恐らく1億2000万人の日本人のうち1億人ぐらいはMr.Childrenの代表作である『innocent world』をイメージする事だろう。
でも、″イノセント“って和訳すると何?って聞かれて即答できる人は、案外少ないのではないだろうか。
″イノセント“とは「無垢」とか「潔白」という意味である。
スガさんは今回のアルバムタイトルを一般公募して決定したんだけれど、いろんな取材で必ずと言っていいほど聞かれる「なぜ、このタイトルを選んだんですか?」という問いに対して、毎回こう答えている。
「音楽やお客さんに対して、いつも純真無垢な″イノセント″な自分であると思うし、そうありたいから。」
素晴らしい言葉である。
イチファンとして、涙が出てくるほど嬉しい言葉だ。
だが、、である。
しかし、、この『イノセント』というアルバム、実は世間でイメージされる″無垢“という言葉からはかけ離れたアルバムである。
リード曲はSMの曲だし、販促ツールでもあるはずのMVは過激すぎて完全版はメディアで流せないという本末転倒な事になっているw
更に、ただふざけ倒してるだけの、どファンクSONGが『ファンクザウルス』名義でスガシカオの曲の間に差し込まれていたりする。
世間に届いてるヒットソングや人気シングル曲が収録されてるわけでもなく、ボーナストラック的に入ってる『モンスターディスコ』を除くと、全て新曲だったりするのだ。
“イノセント“という単語は、他に″悪気のない″とか“率直な“と訳す事もできる。
そう。そんなムチャクチャをスガシカオは″悪気なく“″率直に″やってのけるからヤバいのだ。
だが、このムチャクチャなアルバムは、とんでもない傑作である。
スガさんが2016年に発売した『THE LAST』という重くて深くて全身が蕩けるような中毒性に満ちたアルバムの事を、俺は『紛れもない最高傑作』と評した。
その『THE LAST』発売時の雑誌MUSICAのインタビューでスガさんは、「独立して苦労もたくさんしてきたから、とにかくこのアルバムを叩きつけてやりたくて。俺が叩きつけられる武器はポップミュージックじゃないし、ポップミュージックでは叩き切れない。」と発言していたのだが、今回の『イノセント』も間違いなく″叩きつけてやったアルバム“だ。
ただし叩きつける相手は今回は、
″新型コ口ナウイルスによって世の中に蔓延した鬱屈した空気″であったり、
″TikTok映えする音楽しか流行らないから、そこに寄せていくばかりのミュージシャンたち″であったり、
“音楽をサブスクでしか聴かず、アルバムの曲順やアートワークに興味を示さず、イントロすら飛ばしてしまうリスナーたち“であったりするのだと感じる。
スガシカオは、いつだって現状に抗い、挑戦を続けてきたアーティストだ。
30歳手前にして脱サラし、何の後ろ盾もないまま音楽業界に飛び込んだあの日。
40代半ばにして大手事務所、レコード会社を辞め、たったHitoriで壮絶な逆風に立ち向かい始めたあの日。
ハンパないストレスから突発性難聴を患い、シンガーの命である聴力を半分失い、それでも前を向いて歩き始めたあの日。
そして、どんな邪魔や嫌がらせにも屈せず、最強の中毒性を持つアルバム『THE LAST』を発売し、″誰かさんたち″に叩きつけてみせたあの日。
スガさんの音楽はもちろん、そんなスガシカオに魅了され、スガマニアのみんな(俺含む)はどんな時も変わらず(個人差はあれど)スガさんを応援し、時には共に闘う覚悟でついてきたんだ。
先程『イノセント』の事を“叩きつけてやったアルバム″と表現させてもらったが、このアルバムは、そんな風にずっとついてきてくれたファン一人一人へのスガさん流のプレゼントのような、そんなアルバムでもあると感じた。
何しろ、“こんなスガシカオが聴きたかったんだよ!“って曲が目白押しなのだ。
それでは、僭越ながらライナーノーツ的なモノを綴らせてもらおうと思う。
スガシカオ 『イノセント』(2023年2月1日発売)
1.バニラ
名曲揃いのこのアルバムの中で、この曲をリード曲に持ってきたスガシカオの潔さたるや。
久々のエログロ満載やりたい放題のスガシカオは、聴いてるだけでトリップしそうになる程気持ちいい!
これこそがJapanese King of Funk‼︎
『苦しくなったら すぐに教えて 意識が飛んで脳内麻薬みたいでしょ』
2.さよならサンセット
夕陽の色を「腫れた傷みたいな色」なんて例える作詞家は、日本に間違いなく1人だけだろうな。。
この曲は、昨年の25周年大感謝祭ツアーで初披露された曲。
スガさんの大切な友人の1人が、スガさんのライブの打ち上げの直後に倒れて、突然天国に旅立ってしまった。
その友に向けて書いた、哀しみと光が交錯する歌詞がホント秀逸。
『明日からまた 君がいない日々を それぞれ行くよ』
3.叩けばホコリばっかし(Short Mix)byファンクザウルス
スガさんがデビュー25年目に始めた新たなプロジェクト。どファンク集団『ファンクザウルス』の問答無用のアゲアゲSONG!
昔からスガさんのFF(ファンクファイヤー)というライブに参戦してた身としては、待ってました!という言葉しか出てこない笑
ライブでもみんなで「わっしょい!わっしょい!」踊り狂いましょ!
4.痛いよ
タイトル通り、まさに心がヒリヒリ痛むような歌詞に、耳に残る美しいメロディー。
初聴きで、涙がポロポロ零れ落ちてしまった。
気分が落ちてる時に聴いたら闇に引き込まれちゃいそうになる。この曲ヤバい。
『めんどくさい人でしょう?誰も助けてくれない ずっと痛いよ あなたも もういないしね』
5.獣ノニオイ
軽快なイントロから始まる極上のシティ・ポップ。
昨今のシティ・ポップブームに対して、「俺に書かせりゃ、こんなカッコいいのすぐに作ってみせるぜ」とでも言いたげな完成度。
そこに、これまた″スガシカオ節“な変態的な歌詞が乗るのが、もうマニアにはたまらんのですw
『無限にふり続く 夏の狂ったイタズラは この街の何もかも淫らな色に染めていく』
6.バカがFUNKでやってくる(Short Mix)byファンクザウルス
『痛いよ』『獣ノニオイ』でスガシカオのディープな世界にズブズブと浸かり、沈みそうになった所に飛び込んでくる「本番だよー」の一声。
すかさず再び始まる最幸ファンク集団のバカ騒ぎ。←褒めてます
正式メンバーでも無いのに、ドラムのキッシー(岸田容男氏)の存在感が有りすぎてw
まさに水を得た魚のよう!✨✨
ファンクザウルスのライブの時も、ドラムはキッシーでお願いします!
King of Funk!King of Funk!\(^o^)/\(^o^)/\(^o^)/
7.覚 醒
冒頭の「Ahー」から、とにかくずっとカッコ良すぎる!
ラジオでのスガさんの発言によると、一昨年発売のコンセプトアルバム『Sugarless III』に入れる予定だった曲が「このアルバムには合わないから」という理由で先送りになり、今回のアルバムに歌詞を一新して収録される事になったという事だが、レコーディング完了の際にはスタッフから大拍手が沸き起こったという程の自信作。
王道の″ゴリゴリなのに聴きやすい“スガファンクに、闇を切り裂くような熱い歌詞が踊る大名曲。
えっ、この曲シングルでもリード曲でも無いんですか。そうですか。
控えめに言って、アルバムのクオリティーがおかしいのよ。。
『さっきの未来が今だとするなら 未来はまだ結構変えられる』
8.東京ゼロメートル地帯
この曲はスガさんのライフワークである『下町シリーズ』(スガさんが生まれ育った東京の下町をテーマにした曲)なんだけど、曲調が超オシャレなシティ・ポップなのが、とんでもなく素晴らしい。
こんなにオシャレに「薬物」「違法な味のアルコール」「川の水が臭くて」って歌っちゃうの、世界中探してもスガシカオただ1人でしょ!笑
JUDYちゃんのコーラスもカッコいい😊
『ぼくの住んでた街は とにかく荒れてて BLUESさえ ひずんで聞こえた』
9.灯火
今作唯一のバラード。
いや、この曲には打ちのめされました。
自分の心の奥の、そのまた奥に隠している弱い部分に直接響いてきた。
この記事の前半に書いたように、スガさんは常に現状に抗い、挑戦を続けてきた人だ。
我々ファンの知らない場所では、想像もできないような辛い思い、悔しい思いもしてきたに違いない。
誰よりも頑張ってきたはずのスガさんが、「でも諦めたくない あと少し このまま頑張ってみてもいいですか?」と歌う。
夜中に聴いてて、自分でも引くくらい涙止まらなくなった(ノд<。)゜。
俺も頑張ろう。
そしていつか大切な人の心に、あたたかい光を。。
『いつの日か必ず 暗闇のその先を ゆるぎない光で照らしたいのです』
10.メルカリファンク(Short Mix)byファンクザウルス
またもや曲の世界にズブズブと沈みかけてるところに、、涙を一瞬で止めるファンクザウルス見参!w
「チョットマッテクダサーイ!」って、やり直したのそのまま収録してるし🤣🤣🤣
前のツアーの全入場者に無料で配布された、スガさんからの“プレゼント″であるCDが、大量にメルカリに出品される、という騒動があった。
スガさんはライブの度に「お願いだから、俺の″気持ち“をメルカリに出すのはやめてください」と苦笑いしながら訴えていた。
全て曲に落とし込み、笑いに変え、見事に伏線回収してみせた。
スガシカオ、、いや“ボスザウルス“恐るべし‼︎笑
11.国道4号線
この曲も昨年の大感謝祭ツアーで先行披露された曲で、俺はライブレポにも「忖度抜き、贔屓目抜きでマジで名曲」と書いたんですが、改めて聴いてみて、とんでもない大傑作だと断言したいと思います。
スガさんはMUSICAのインタビューでこの曲を″圧倒的な名曲“だと熱弁する鹿野淳さんに対して、「(この曲は)今っぽくない」と語っていたけど、その“今っぽくない圧倒的な名曲″を、この時代に何の飾りもなく全力で投げ込んできたのが、もう涙が出るほど凄く凄くカッコいいのです。
『ぼくらは求め合いすぎて 互いに依存しすぎたんだ 全てを君に求めてた 君は黄金の月だった』
12.おれのせいbyファンクザウルス
はい!名曲の世界観に浸ってるところを一瞬でブチ壊すファンクザウルスが、またもややってきました!w
ここまで聴いて、ハッと気づく。
『THE LAST』に負けないくらいディープで強い楽曲が多いにも関わらず、『イノセント』が圧倒的に聴きやすいのは、ファンクザウルスがちょこちょこ間に入ってくれてるからなんだ〜って。
だから何回でも、何十回、何百回でも聴けてしまう最高にして最幸にして最狂なアルバムなんだと、スガマニアの端くれとして結論づけておきたいと思います。
あ、ちなみにこの曲めっちゃ楽しいんですけど歌詞がブラックと言うか、かなり深いんですよね。
コ口ナ禍の現代の風潮もそうだし、職場や学校、家族の人間関係にも当てはまるような。。
実は相当ブラックでシニカルで強い曲。
ファンクザウルスをナメてるとガブっとやられるぞ。ガオー‼︎
『誰かのせいにしなきゃ この物語は終わらない』
13.モンスターディスコ
ご存知の方も多いと思うが、TVアニメ『デジモンゴーストゲーム』のエンディングテーマとして流れていた曲で、まさかまさかのヒャダインとのコラボ曲。
発表時には正直TikTokに寄せてる感が有って、ブチ上がる曲ではあるけど多少抵抗が有ったのです。(実は・・・)
でも、『イノセント』をここまで聴いて、何かいろんな感情がグチャグチャになった状態で最後に聴く『モンスターディスコ』は、あら不思議!全てを浄化してくれる清涼剤みたいな役割を果たしてくれるのです!
更に、TikTok風味の音楽に抗うようなアルバムの最後にこの曲が入る事によって皮肉が効いていると言うか、これも見事に伏線回収に成功したな、と感じました。
凄いなぁ。。
スガさんは「ボーナストラック的に入れた」って仰ってたけど、入れて大正解です!
一気にモンスターディスコを大好きになりました‼︎✨✨
『ほら!一緒に歌い出してる 手拍子に合わせ モンスタークラップ もう一回クラップ 時計の針も逆走する』
以上13曲!
スガシカオさん渾身のNewアルバム『イノセント』は、“俺の聴きたかったスガシカオ“が満載の、本当に本当に素晴らしいアルバムでした‼︎
まだ購入されてないって方、初回限定盤Aを買うと本編CDでは『Short Mix』だったファンクザウルスの楽曲のフルバージョンが入ってるCDが特典として付いてきますので、気になった方はぜひぜひチェックしてみてくださいね!(※初回限定盤BはライブDVD付き)
スガさん!デビュー25周年イヤーを締めくくる大名作アルバム発売、本当におめでとうございます‼︎
そしてありがとうございます‼︎😭😂
非常〜に残念ながら仕事の関係で2月26日のデビュー26周年記念ライブ(ファンクザウルスお披露目ライブ)には参加できませんが、、大成功を心から願ってます!
最後まで読んでいただきありがとうございました😊
サンキューベイッ‼︎😉