魚と川のプロに学ぶ釣りの楽しみ
さくほ通信clubによる佐久穂の自然を楽しむ活動、8月は釣り体験教室を開催しました。
海はなくとも魚が美味しい佐久穂町
「海なし県」の長野にありながら、佐久穂町では魚が身近です。
町の真ん中には千曲川が通り、その支流である大石川や抜井川を上っていけば、豊かな自然のなかで渓流釣りを楽しむ人たちがいます。
八千穂高原の麓の八千穂漁業では、長野のブランド魚「信州サーモン」に「信州大王イワナ」をはじめとする淡水魚を手間暇かけて育てており、それらは近隣のお店で購入したり、町内外のレストランなどで味わうことができます。
この八千穂漁業さん、自社で養殖した魚に加え、全国の漁場から仕入れた魚を捌いたお刺身も土曜日限定で販売しています。これがとっても美味しくて、おかげで私たちは海の魚も楽しめています。(※2023年の情報では、”土曜の刺身”は7、8月は休止、9月以降に販売再開予定)。
釣りの先生たちの職場”漁協”とは?
今回の釣り教室は、八千穂漁業の養殖場で行われました。といっても、大事に魚を育てている養殖池に釣り糸をたらすわけではありません。その奥に釣り堀があるのです。
ご協力いただいた佐々木信幸さん(八千穂漁業 代表)によると、コロナが流行する前は頻繁に子どもたち向けの魚釣り教室などを開いていたそうです。今回は数年ぶりの利用だったので、釣り堀の整備が大変だったとおっしゃっていました。
釣りの指導をしてくださったのは、南佐久南部漁業協同組合の皆さんです。
釣りにも漁業にも疎い私は、漁業協同組合(漁協)が何をする団体なのか良く知りませんでした。
このイベントを機に少し調べてみたところ、南佐久南部漁協は川や湖沼などの漁場を対象とした内水面漁業協同組合というものに該当します。海の漁師さんらが所属する漁協は農協に似ていて、漁業者の経済的な支援なども行います。一方で内水面漁協は、河川や湖沼の環境を守ることが主な役割のようです。そのため、レジャーとしての釣りを行う人からは遊漁料を徴収し、漁場の管理や釣りのルールの指導、魚の放流などを行って魚たちの生態系を守る活動を行っているのです。
そのような仕事をする人たちなので、やはり皆さん釣りがお好きで、釣りに親しむ人が増えるのも嬉しいようです。とっても楽しそうに教えてくださいました。
次々に釣れるニジマス!
まずは子どもたちに一本ずつ釣り竿を貸していただき、釣り糸を結び付け、ウキやおもりや針をつけて仕掛けを作る方法を教えてもらいました。
ですが、「まず糸を輪っかにして、その中に通して……」という実演と説明を聞いても、自分も同じようにできる気がしません。結局、初回のエサを付けるところまでは先生が全員分やってくれました(釣具屋さんに行けば、仕掛けまでついた状態の糸が売られているそうです)。
今回釣ったのはニジマスです。
池の上から覗くと魚たちが多くいる場所が見えるので、そこをめがけて竿を投げます。狙った場所に投げ入れることができると、意外と簡単にウキが引っ張られるのが見え、「かかった!」ということがわかります。
先生によると、魚がかかってから引っ張り上げるタイミングが大事。早すぎるとエサだけ取られてしまったり、遅いと針を奥まで飲み込まれてしまったりするようです。何度もやっていれば分かってくるのでしょうが、今回はだいぶサポートしてもらい、次々に釣り上げることができました。
ルアーフィッシング体験も
1〜2時間でみんな満足できるくらいの収穫があり、後半は疑似餌(ルアー)を使うルアーフィッシングの体験もさせてもらいました。
それまで使っていたのは真っ直ぐな竿の先に糸を付けるだけのシンプルなものだったので、手元でシャカシャカと回すリールがついた竿に、子どもたちの目が輝きます。
竿を投げたらリールを操作してルアーを動かし、魚をおびき寄せるというのが、まるでゲームのよう。ハマった子は何度も何度も挑戦していました。
晩ごはんはニジマスづくし
とても暑い日だったので、お昼前には釣った魚を持って解散しました。
自宅でひと休みしたら、今度は調理タイムです。子どもに「ニジマスのさばき方を調べておいて」と伝えておいたらYoutubeを観てイメージを掴んだようで、上手に内蔵を取ってくれました。
メニューは子どもと相談し、塩焼き、ホイル蒸し、唐揚げに。
子どもは「唐揚げが一番美味しい! また作ろうね」と言っていました。確かに、淡白なニジマスに醤油とニンニクをきかせた唐揚げはなかなかの味でした。一匹だけ大きいのが釣れたので、それを塩焼きにしたのも、身がたっぷりほおばれて良かったです。
実は、「釣りは楽しそうだけど、調理が面倒だなぁ」なんて思っていた私。ところが、自分で釣った魚だと「美味しく食べてあげたい」という気持ちになり、むしろ前向きに包丁を握っている自分を発見。釣り好きな人たちのワクワクが少し分かった一日でした。そして、こんな体験がすぐ近所でできるのだから、やっぱり里山の暮らしって楽しいなと実感しました。
(さくほ通信club 部長 やつづか えり)