皿焼きを作ろうの会(集落の話の聴き手だより その後の活動)
皿焼きを作ろうの会
9月3日。川久保公民館で、皿焼きを作る会を行いました。
「集落の話の聴き手だより」8月号で川久保の皆さんにお話をお聴きした際に、宮川勝子さんの皿焼きがおいしいと話題になったことがきっかけとなり、この集まりが開催されました。聴き取りに参加いただいた勝子さんと佐藤えみこさんは今でもよくご自宅でお茶を飲むお友だちで、その時に勝子さんがお茶請けに「皿焼き」を焼いて食べているんだとか。
ぜひ、聴き手もレシピを知りたい!食べてみたい!という思いから、地域のみなさんも巻き込んでの会になりました。
作り始める前に、勝子さんが「若い人はこんなの食べたことないと思って作ってきたの。」と持ってきてくださったのが、皿焼きと同じ小麦粉を使った郷土料理の「こねつけ」です。味噌と野菜、ご飯、卵、砂糖、水を混ぜたものを一口大にして油で揚げたものなんだそうです。青じその風味がしてとても美味しかったです。
まずは、材料の野菜を千切りにします。
使う野菜に特にきまりはないので、季節の野菜を用意します。今回は、キャベツ・人参・細ねぎ・しめじ・ニラ・ナス・青じそ(大葉)を用意しました。「彩りも大切ね。」と勝子さん。しめじ以外は、みなさん手際よく千切りに。しめじは、手でさいていきました。
野菜が切り終わると、生地作りです。
小麦粉、味噌、砂糖、卵、水を混ぜます。分量は目分量です。天ぷらの衣くらいのとろみになるように水分量を調整します。
「正確になんてやってられないから、長年の経験でやるのよ。」なんて言葉も。
そして、切った野菜から好きなものを入れていきます。
生地ができたら、温めたフライパンで焼いていきます。
油を多めに入れるのが勝子さん流のレシピ。油が少ないとフライパンにくっついてしまうし、揚げ焼きにするとまわりがカリカリになって美味しく焼きあがります。
生地は、お好み焼きなどに比べて少なめに入れます。田んぼに持っていく時など限られた時間の中で作ってきたので、薄い方が早く焼きあがるんだそうです。
あっという間にひっくり返して、ここでも勝子さんならではの工夫でチーズをのせます。お孫さんに作る際には、チーズがのっていると喜んで食べてくれたそうです。
勝子さんの「こんな風に作ってください。」の一言から、みなさんでどんどん焼いていきます。
「分量を量らないっていうのがいいよね。」とさすが長年、料理をされてきた主婦のみなさん。作りながらお話にも花が咲いて笑い声が響きます。
作業をしながら、小麦粉料理やご出身についてもお話を伺いました。
みなさん、佐久穂町や佐久市のご出身で、ご実家やお嫁にきた川久保で小麦粉料理を食べたり作ったりしたそうです。
内山(佐久市)出身の三浦さんは、おざら(うどん)やすいとん、炭酸まんじゅうを実家のお母さんが作ってくれたそうです。
「炭酸まんじゅうってなんですか?」と尋ねると、小麦粉と重曹を混ぜたものであんこを包んでふかす、自家製のおまんじゅうと教えていただきました。少し前までは、お盆やお彼岸に各家庭で手作りされていたんだそうです。
小麦粉料理が今よりも家庭料理として親しまれていたんですね。
焼きあがったものも手早くお皿に盛りつけて、食べやすいように切っていきます。
あっという間に皿焼きが完成しました。
キムチの素とマヨネーズをつけるのは、えみこさんのアイディア。味に変化がついて、美味しいんだそうです。
また、カボチャや漬物もご自宅から持ってきてくださいました。
準備ができたところで、ちょうど男性方も公民館へ来てくださり、食事会が始まりました。
美味しくて、どんどん箸が進みます。一緒にみなさんのお話も進みます。
少し前までは信州のお茶飲み文化というのがあり、それぞれの家から漬物や煮物などの料理を持ち寄ってお茶を飲みながらお話をしたんだとか。今よりももっと近所との交流が盛んだったそうです。
子どもの頃は学校から帰ると今のような市販のお菓子ではなくて、「皿焼き」や「こねつけ」などがおやつだったことも伺いました。
小麦粉料理はおやつにはピッタリだったそうです。
川久保以外の集落の出身の方にも、自宅で小麦を育て、水車で粉にしていたお話をうかがいました。当時、小麦粉料理が身近だったと感じる話題でした。
私たち聴き手にとっても楽しい時間となりました。参加されたみなさんからも「若い人が来てくれて嬉しかった。」「楽しく作れてありがとう。」と嬉しい言葉も。
また、最年長の宮川邦夫さんからは、「元気の秘訣は、年をとっても男女で交流することです。」と教えていただきました。
皿焼きをきっかけに集まった会でしたが、男女関係なく地域のみなさんで集まる場の温かさや集まることでもらえるパワーの大きさを実感した会となりました。
ご参加いただいた川久保のみなさん、ありがとうございました。
文章:川嶋
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