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シフォンケーキの販売 SUI CHIFFON(星野美穂さん)/初出店者インタビュー
さくほリビングマーケットに初出店した方のインタビュー記事を連載しています。なにかにチャレンジしている人たちは、どんな思いをもって活動しているんだろう?背景にあるストーリーをお聞きしました。
お水(Sui)を沢山含んだようなしっとりふんわり新食感のシフォンケーキ。材料は国産の物を厳選し、卵は佐久市ちゃたまやさんの新鮮卵を贅沢に使用して、お子様でも安心して食べられる美味しいシフォンケーキを作っている星野美穂さんにお話を伺いました。
——さくほリビングマーケット(2024.11)出店してみていかがでしたか?
とてもアットホームな雰囲気でした。このイベントに出たことがある方や楽しみにしてくださっているお客さんの輪に入れてもらったような感じもあり、みなさんとてもエネルギッシュで刺激を受けました。勇気を振り絞って出店してよかったです。
シフォンケーキは家族や友人のために趣味で焼いていて、いつかお店を持ちたいと思っていました。さくほリビングマーケットは、営業許可などを持っていなくても、食品出品ガイドラインにそって製造すれば出店できると知って「だったら出てみよう!」と。わからないことだらけでしたが担当の方に聞けばなんでも教えてくれて、受け入れてもらえる感じがうれしかったです。
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――お客さんとの交流は楽しめましたか?
はい。近くに飲食スペースがあったので、食べてすぐ感想を言いに来てくださる方もいました。屋号にも水(SUI)が入っているように「水分多くしっとり、ふんわり」を目指しているので、「しっとりしていますね」と言ってもらえるとうれしかったです。「どうしてシフォンケーキを作り始めたんですか?」と興味をもって聞いてくださる方や、もっと知ってもらえるように「Instagramの案内を出してみたら?」と親身になってアドバイスしてくださる方もいて、本当にありがたい気持ちでした。お客さんとお話しできるのって楽しいですね。
――シフォンケーキを作り始めたきっかけは?
私はもともとケーキを焼いたりするタイプではなくて(笑)。3人子供がいるんですが、真ん中の息子が、小さい頃からレトルトカレーと納豆しか食べない、という偏食で。小食なので体も小さかったんです。ある日、私の姉がシフォンケーキを作って持ってきてくれたら、なんとその息子が一人で1ホール食べちゃったんです!びっくりしました。「え、食べるんだ?!」って。偏食の息子が食べてくれるなら、と姉からレシピをもらって作りはじめたのがきっかけです。
シフォンケーキって、卵、小麦粉、牛乳、砂糖、油だけのシンプルな素材。ヘルシーで体にいいし、カボチャやサツマイモなど、ペースト状にすれば野菜も入れられる!それから、卵もたっぷり使うからタンパク質もとれる!偏食の息子でもたくさん食べてくれるのがうれしかったから、素材をいろいろ試したり、甘さ控えめにしたり、自分なりのレシピを探求していきました。今は、ちゃたまやさんの卵、長野県産の牛乳、北海道産の小麦粉など、厳選した安心できるもので作っています。
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――そんな背景があったんですね!シフォンケーキづくりのおもしろさってどんなところにありますか?
メレンゲと生地を混ぜて型に流し込む時の、しっとりとした、ぽふっとした質感が、赤ちゃんの肌のようでものすごく愛しいんです。シフォンとは絹という意味ですが、シフォンケーキを焼くたびに、赤ちゃんの絹肌のような生地に見惚れています。
それから、結婚後は育児中心の専業主婦になり、それまで働いて築いてきたキャリアがわからなくなってしまっていました。子どもは本当にかわいいけれど、社会と切り離されたことで、何かが失われるような感覚がずっとあって。その中でも、シフォンケーキ作りは、試行錯誤しておいしくなっていったり、納得いくものが作れるようになったり、成長しているな、と思える場面があり、それが自分にとって自信になっていました。
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――夢中になれるものに出会えたことが、美穂さんの自信につながっていったんですね。とてもすてきです。これからどんな活動に育てていきたいですか?
今回の出店もあり、もっとたくさんの人にも食べてもらいたい、幸せを届けたい、という気持ちがわいています。最近、9年ぶりにレストランで働き始めました。シェフにもシフォンケーキを食べてもらってアドバイスをもらったり、働くって楽しいな、と。いつかお店を出すのが夢なので、こぢんまりとしたアットホームなお店を佐久穂町につくりたいです。こうやってこれからのことを考えるのって、楽しいですね。
writer 細川敦子