自分探しのはじまり
前回書きましたが、急性期病院での勤務の中で感じた限界。
でもそれをうまく言葉にできず、入職3年目、仕事は徐々に回り始めているものの、こなしてしまっている感じがして、何かしらの違和感を抱えたままになってしまっていました。
この年、プライベートでも変化があり、何かこのままじゃいけない!という気持ちが強くなり心理学系の大学院を目指すことにしました。
よく考えればこの時から、迷ったり自信がなくなるととりあえずインプットへ!というパターンが多かったなと今になって思います。それはさておき。
違和感の正体
私が感じていた違和感は
医療全般EBM一辺倒になってないか?
ということ。
おそらく2000年代頃からEBMという言葉が普及し、PT業界でもよく聞くようになったのが2010年前後くらいかな。
それまでは経験ありき、その人の感覚ありきな理学療法が提供されていることが多く、その辺りを協会としても課題として捉え始めた時期だったような気がします。
EBMに基づいたガイドラインに則って治療が決まる、退院も決まる。それに合わせてPTも何とか退院させなきゃと取り組む。
でも、やっぱり無理なひとは無理。リハビリで改善が見込まれる人はリハビリ病院など適切な道があるのだけど、疾患名や入院期間などでその道が閉ざされてしまう人、そもそもリハビリでは何とかできない(ADLを上げるという意味では)もいたりで。
治療もこれ以上なく、身体的な改善が見込めず、そんな人たちにどう対応するのがいいのかとても困った経験が数多くある。
それでも、環境を整えるのはもちろんなのだけど、身体的な課題をもったままでも生活の質を落とさないために、つまりはQOLを上げるために、PTとして行える心理的なサポートもあるんじゃないかって考えて。
そういった思いを持って、大学院への進学の道を決めた。
大学院に入ってから学ぶ中で気づいたような気がするけど、この時の私の思いは
EBMだけでなく、NBMも必要なんじゃないかな
という思いが根底にあったのだと思う。
EBM(Evidence-based medicine)
根拠に基づく医療 - 医療において科学的根拠に基づいて診療方法を選択すること
NBM(Narrative-Based Medicine)
「ナラティブ」は「物語」と訳され、患者が対話を通じて語る病気になった理由や経緯、病気についていまどのように考えているかなどの「物語」から,医師は病気の背景や人間関係を理解し、患者の抱えている問題に対して全人的(身体的、精神・心理的、社会的)にアプローチしていこうとする考え方
EBMというのは知っている人が多いと思うけど、NBMはまだそんなに周知されていないような気がします。
「全人的なアプローチ」というのはPTが目標とするところで、この辺りもこの言葉が自分の中でしっくりくる理由の一つなんだけど。
そんなこんなで心理学学びたいなと思い、畑違いの大学院に飛び込んだのでした(意外と医療系の人は一定数いたのだけど)。
振り返ってみて
いま思うと、この時からPTという畑だけにいるのがあまり心地よくなかったような気がします。
PTという仕事は好きだけど、PTという職種に誇りはあるけど、自分PTです!!PTとしてこれ頑張ってます!!みたいには言えなくて。
むしろそういう人たちが苦手で笑
だから、PTなのに〇〇みたいな道に憧れて、そういう道を選んできたような気がします。
でもそれって何でなんだろう。。
よくよく考えてみると、自分探しのための一歩を踏み出した感じだったのかな。
自分の進むべき道はどこかにあるはずだって。
人とは違う道があるはずだって。
人と違うことにこだわっていたのかな、そこに価値をもっていたのかな。
何となく今ならそうやって客観的にみれます。
これからも少しずつ自分探しの旅を振り返りたいと思います。