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【短歌】おほなゐ
2023-03-25 富山県美術館
のこしたいものばかりある きつく手を握ったときの鬱血、あるいは
ほんものとにせものじやなくにせものがふたつあるのだ 石膏を割る
ころんぶす、こはれるときに彫像は最もひかりかがやくといふ
思考にも整理券くらいくばつてよ あとどれくらい失ふものが
蚕蛾のつくりしパジャマの肌さわり棺まとひておつ眠りはや
2023-04-02 高円寺High
ひとはみな空気の膜につつまれてをりいくたびも生まれなほして
さうんどすけーぷごおと おほなゐにほぐされてゆくすべてのものは
手をあててみればわたしの音じゃないふるへがあつて 泡だとおもふ
春色のわんぴいすからはぢきだされた真つしろなさくらのひとひら
ぽよぽよ新聞さん(instagram.com/poyopoyo_shinbun/)の6月号に掲載させていただいた短歌です。連作で発表できる、またとない機会となりました。今号は普段とは異なり、寄稿でできた特別号だそうです。可能な方は、ぜひお手元にとってご覧ください。