若くして糖尿病になって入院した話(朧げ)
前書き
某有名イラスト投稿サイトで入院関連のエッセイ漫画を読んで、そういやこの話してなかったな?と思い至って書き始めている。
あれから4ヶ月くらいしか経ってないが、かなり記憶が曖昧なので話半分に聞いておくれ。実録とかじゃなくて思い出話ってことで。
当時はnoteやってなかったんよ。
※実際の日付はぼかしたりぼかさなかったりするよ。身バレしないかな、大丈夫かな。
発覚のきっかけ
時は2月中旬にまで遡る。この頃、私はSNSで知り合った友人と私の地元で泊まりのオフ会をしていた。地元だが私もせっかくなのでホテルに泊まった。
オフ会自体はめちゃくちゃ楽しかったのだが、ある日の夜のことだった。
友人「……ずっと思ってたんだけど、なんか水めっちゃ飲むね?」
台詞は適当だが、なんか確かこんな意図のことを言われたと思う。実際、私はオフ会の間も四六時中飲料を飲み散らかしていた。かなりのハイペースで。
私にも自覚はあった。というか、自覚しないとおかしいペースで水を飲んでいた。
ただ、当時の私は意識して水分を取るようにしていた部分もあった。去年の秋、長年夏場に感じていた不調が軽い脱水なのではないかと気付き、それからずっと水分を多めに取っていたのだ。
しかし、何を隠そう私は暴食と運動不足の権化。体重は然程でもないが驚異の体脂肪率を誇っている(と思う)。更には1月に二十歳になりそこに酒まで加わっていた(驚くほど飲んでいたわけでもないが)。
必然、不安がよぎる。今まで何故か大きな病気はやらかしていなかった私も、とうとう年貢の納め時か……!
友人の勧めもあり、オフ会を終えて解散した翌日(多分)の金曜にかかりつけの病院に検査に行った。
衝撃の検査結果
かかりつけ医の先生に「糖尿病かもしれないので、血液検査がしたい」と言ったら、そんなまさか〜……みたいな感じで一応尿検査をすることになった。めちゃくちゃ信じてなさそうだった。いやまあ私も今年で20になったばっかりだもんな。
で。尿検査が終わって、先生が真面目な顔で部屋に帰ってくる。尿糖が出てましたと。マジで?私、本気で糖尿なの?
当然、血液検査もすることに。この頃は注射が怖くて嫌だったな。今でも嫌だが。
かかりつけの診療所では検査ができない、ということで大きな病院に検体を送って調べてもらうらしい。日曜の夜に連絡すると言われてその日は帰ったんだが……。
翌日、土曜の夜。……そう、日曜ではなく土曜の夜である。父親の携帯に先生から連絡が入った。
かなり深刻な声色の先生から伝えられたのは、簡単に言うと「ヤバい。今すぐに入院しろ」とのことだった。
……マジで?そんなに?
その時の私の血糖値は700と少し。普通の人の血糖値が70〜100。
血糖値というのは、200くらいでは自覚症状はなく、300〜400でもはっきりとした症状は出ないが、500を超えると吐き気や嘔吐、悪ければ昏睡に陥る。
私は、700と少しだった。なんでピンピンしてたんだろうね、私。
……とはいえ、糖尿病というのはとことん自覚症状のない病気である。私のような患者も珍しくなく、人によっては1000を超えていても気付かず、健康診断で発覚するということもあるんだとか。健康体でも年に一度は検査しておいた方がいいね。
ちなみに、糖尿病の症状の中には脱水症状も含まれている。もしかしたら私の長年の不調も……おぉ怖。
さておき。そんな爆裂な数値が出たからには入院せにゃいかん、ということでまずは月曜に近くの医大病院で再検査ということになった。
両親には運動不足についてめちゃくちゃ詰められた。ごめんなさい。やっぱそれのせいだよな間違いなく。
デカい病院で再検査
月曜日。土曜日曜と父親にしこたまキャベツを食わされた私は満を持して医大病院へ向かった。
当時はまだコロナの規制解除前だったので早めに行ってまずはコロナの検査。私は年末から年越しまで家族丸ごとパンデミックを経験したので(?)、問題なく検査を通過。検査結果が出るまで時間を潰して(ここが長かった)、いよいよ院内へ。
最初は検査部で血液検査と尿検査を行った。ここで改めて発覚したのが、私の血管の分かりづらさ。右腕を見て、左腕を見て、どっちでやるか悩んで、「行けるか分かんないけどこっちでやります」を入院中どれだけ聞いたことか。毎回めちゃくちゃ腕をムニムニされるのだ。
尿検査の思い出は特にない。そりゃそうだ。
そして向かったのが内科。その中でも内分泌内科の先生に診てもらう。
この内科での待合がまぁ長いのなんの。信じられないくらい長い。この後通院もすることになるのだがまぁ毎回長い。ここがすごい苦痛だった。流れてるテレビ番組もあんまり好きじゃないし……(バラエティ苦手なの)。
苦行に耐えること1時間くらい。ようやく呼び出されて、内分泌内科の受診室へ。
内分泌内科の先生、めちゃくちゃイケオジだった。ちょっと太いけど、彫りの深いナイスガイ。
再検査の結果、血糖値は600を超えないくらいだった。150くらい下がってた。キャベツ、恐るべし。
※かかりつけで検査した時は空腹時血糖というわけではなかったので数値には多少の差があるぞ!
ま、結局600近いので入院は避けられない。金曜から入院しましょう、ということで準備のため一旦帰宅と相成った。
最初の検査から入院までちょうど一週間である。展開が早い。
入退院センターで入院についての説明を聞き、資料を貰って支払いを(父親が)契約して帰宅。私はここでの選択を実に2週間後悔することになる。
ともあれ、私は先週オフ会のために用意した荷物を今度は入院のために揃え直さなければならなくなったのだった。
(ちなみに入院までの数日で一度スタバに行った。新作をまだ飲んでなかったし、退院してからじゃ遅かったから……。何ならラーメンも食べた)
いざ入院
金曜日。事前に2週間入院予定と聞いていたので、オフ会時より遥かにゴツいフル装備で入院に臨んだ。
当然未だコロナ禍なのでまずは抗原検査。やっぱり長時間待たされて、入退院センターで手続きを行う。病棟への案内図を受け取り、いざ病室へ!
……と、その前にアメニティの契約から。外部の会社の人から説明を受けて、日用品+タオルのセットを契約。これに2週間お世話になった。
改めて病室へ向かう。エレベーターで4階に登り、ナースステーションへ向かうと……おや、何だかおかしいぞ。なんと連絡の不備があったのか、本来は先に検査しないといけない所を直に病棟へ案内されてしまったらしい。2階まで逆戻りである。
しかし、あまりにも大荷物だったため先に荷物だけ置かせてもらえることになった。ついでに病棟についての説明も先に聞いて、ついでに体重測定。
そして、改めて検査部へ!
検査部で行ったことは前回と一緒。特に目新しいことはなかったし、やっぱり両腕を見られた。
血液検査と尿検査を終えて改めて病室へ。コロナ禍での面会制限もあり、父親とはナースステーションの前でお別れ。次に会うのは2週間後になる。
案内されたのは仕切り付きの4人部屋。普通の4人部屋よりちょっとプライバシーに配慮されている。
しかし、後悔したのはここ。4人部屋、周りに迷惑なのであまり声を出せないのだ。最初の頃は耐えられたが、1週間もしないうちにキツくなった。私は声がデカいしお喋りなのだ。個室にしてもらえばよかった……。
ともかく、荷物を下ろして生活空間の構築に取り掛かる。せっかくなので持ち込んだ物も挙げておこう。
まずはスマホや財布などの身の回り品。普通の外出にも持って行くような物。あと勿論充電器。モバイルバッテリーも持ち込んだけど使わなかった。そりゃそうだ。
次にSwitch Lite。当時確かポケモンSVとスプラ3とMHRISEにドハマりしていた。そして充電器。
ここからはあまり持ち歩かない物になってくる。
最初はノートPC。やたらと性能が良いが、あまり活かせていない。私では用途が限られるからね……。
次に、TRPGのルルブとサプリメント一同。LHTRPG、シノビガミ、SW2.5、DX3rd……フタリソウサはどうだったっけ?まあこの辺り。CoCは持ち込まなかった。
中でもDX3rdのサプリがやたらと多いせいで重いのなんの。持って行ったことを後悔した物の筆頭である。何なら声が出せなかったから結局セッションはできなかったし。
そして最後が秘密兵器、小型無線LANルーターである。コイツを父親が買ってきてくれたおかげで私は有線LANしかない病室でも無線でネットを利用することが……。
……できなかった。説明書を読んでもよく分からなかったのだが、病室の回線が弱かったのかはたまた古かったのか、うんともすんとも言わなかったのだ。マジで使えねえ。
結局、有線LANはPCに繋ぎ、Switchは談話室の無線に繋いで遊んだ。何なら入院中にビッグランあったし。
私の身体、どうなってんの?
入院当日はもう遅かったので更なる検査はなく、入院中の担当の先生に検査結果と入院中の予定、糖尿病についての話などを聞かせてもらった。
軽く解説すると、糖尿病というのは治らない病気であるという。老化と似たような物で、一度高血糖でダメージを受けた膵臓は現代の技術では元に戻らないらしい。
何故膵臓がダメージを受けるのか。それは、要するに過労である。膵臓はインスリンを作る臓器であり、血糖値が高いと糖を吸収するためインスリンを大量に生産する。その結果、過重労働で疲弊し回復不能のダメージを受けてしまうのだ。
更に言えば、私の身体はいくらインスリンを供給しても糖を吸収できない状態に陥っていた。インスリン抵抗性というらしい。体内の筋肉や皮下脂肪がこれ以上糖を取り込めない状態になっていたり、内臓脂肪が糖の取り込みを邪魔したりしている状態のことだ。
私の場合は前者の方で説明を受けたので多分そうなのだろう。幸いにも、若い故か膵臓は結構元気そうだった。
しかし、このままでは膵臓が疲弊してしまうのは間違いないため、まずは体外からインスリンを注射して膵臓を休める所から始めることになる。インスリンが充分に血中に存在すれば、膵臓くんもちゃんと休めるんだとか。お利口さんである。
インスリン注射は実は意外と危険で、場合によっては低血糖で危険な状態に陥ることもある。糖尿病の治療で一番恐ろしいのは低血糖だ。私が入院することになったのも、ほぼ低血糖の危険性と自分でインスリンが注射できない(やり方分かんない)ためである。
まずは1週間ほどインスリン注射とインスリン抵抗性を下げる錠剤で治療して、ある程度まで血糖値が下がったら錠剤だけにして様子を見ることとなった。
さて、ここから先はいよいよ記憶が曖昧である。何せ2月〜3月にかけてのこと、もう4ヶ月も前で私の記憶力では細部まで思い出せないのだ。
なのでここから先はカテゴリで分けて述べて行く形を取ることにしよう。
検査について
糖尿病の検査は意外と幅広い。入院してから数日はとにかく検査三昧だった。
まず、毎日3〜4回、朝昼晩と就寝前に必ずやっていた血糖値検査。指先に針を刺して、毛細管現象を利用しているらしき機械で血を採取するのだ。
この針を刺すのが地味に痛い。1日に4回も刺されていると刺す指も無くなってくるし。バチンッと音を立てて金属板の反動で小さな針を打ち込むのだが……表現がしづらくていつも悩んでいる。
次に、確か血圧検査も毎日やっていた。地味に血圧もかなりエグい値を示していた気がする。入院で落ち着いたが。
ついでに体重も一緒に測ることが多かった。入院で5kg痩せたが、退院した今は1kgリバウンドした。でも4kg減ってはいる。
それ以外で一番最初にやったのは確か末梢神経検査だった。黒いゴム性ハンマーで肘や膝を叩くアレである。何度か繰り返したが、これといった異常は無し。というか私の場合血糖と膵臓(と肝臓)以外に異常は無かった。
サクサク行こう。確か次は腹部超音波エコーだった。ベッドに寝かされてひたすらお腹と背中にエコーを当てられる。結果は覚えてないけどヤバそうな異常は無し。血液検査では脂肪肝気味らしいけど元からっぽい、みたいな話も聞いたな……。
次は確か……眼科かな。そう、糖尿病の検査には眼科の検査もあるのだ!
何故かというと、糖尿病の症状は大抵毛細血管に起こるから。糖で血管が詰まるんだったっけ。なので、大抵眼球と脳と手足の先、特に眼球に来るのだ。いや怖。
しかも眼の血管に来た場合対処が遅れれば失明まであるらしく、糖尿病になったら1年に1回は眼科を受診するように教わった。
ちなみに検査結果は問題なし。
あとは1日検尿(1日分の尿を貯める。詳細な検査に使うらしい)とか大量に血液を抜いて色んな検査に回す(看護師さんは6本分って言ってた)とかもあったなぁ。めちゃくちゃ確率低いけどもしそうだったらヤバい合併症とかもあるらしくて、そのために更に大きい病院で血液検査しなきゃいけないとか……。
まあ、検査室へ移動するような大きな検査はこのくらいで全部のはず。次は入院生活の話。
入院生活について
私が入院していたのは2週間。地味に結構長かったので入院生活についても話せることが幾らかある。
まずは飯。病院食、その中でも糖尿病食である。
驚くかもしれないが、病院の飯は美味い。学校給食を思い出す味で、少なくとも私の入院した病院の病院食は普通に美味しかった。
ただ、軽い。量が少ない。私がまあまあ大食いなものだから、入院当初は腹が減って仕方がなかった。1週間経った頃には胃も縮んでいたが。
あと、これは個人的な話なのだが、キウイが半分に切られて出てくるのが本当に困った。何せ食べづらい。四等分ならもっと食べやすいのに……と最後まで思いながら退院した。
続いて、間食について。
意外にも、糖尿病患者でも食べられる間食はいくつかある。私は先生に許可を貰ってひたすらあたりめを齧っていた。
他にはナッツ類が良いとか何とか……とにかく糖質の少ない物を少しずつ食べるのが大事。
ちなみにブラックコーヒーは割といくら飲んでも良いらしい。本当か?
……ちなみに私は入院中、耐え切れずに先生に内緒でサンドイッチを一袋とジュースを2本こっそり飲み食いした。内緒だぞ、本当に。
次はアメニティの話かな。
うちの場合、基本の日用品に加えてタオルと入院服のセットがあり、私はタオル付きを契約した。
私の場合、確か週に2回外部のスタッフさんが病室までアメニティを配りに来てくれたのだが、ここで大事な話がひとつ。
割り箸は多めに貰うこと。スタッフさんが来る時間帯は結構前後するし、数が合わない時もあるので、食器は多めに貰った方がいい。あとシャンプーやボディーソープも多めに貰うと良いと思う。どうせ余ったら持って帰れるし。
ちなみに洗濯用洗剤は入っていなかったのでコンビニで買った。
あとは、その他の細々した話。
私の地元は老人が多いので、同室になる人もほとんど高齢者ばかりだった。高齢の糖尿病患者は入退院を繰り返す人も多いのか、「また会いましたね」みたいな会話を色んな人が看護師さんと話していたことを覚えている。
病棟内で運動したい時は階段昇降をするのが一番手っ取り早い。そんなに邪魔にもならないと思う。
お風呂はない。シャワーだけ。溺れる人がいるからだったと思う。そこまで不便ではない。
コロナ由来の面会制限は私の時はまだ解除されていなかった。今でも恐らくそう。ただ、オンライン面会みたいな制度もあるらしいので確認してみると良い。私は通話だけで済ませた。
さて、入院生活の話もこれで終わり。最後に、今の私について軽く話しておこう。
その後の経過
実際インスリンを打っていたのは最初の1週間と少しだけで、2週目はほぼ飲み薬と食事制限だけで様子を見た。
結局予定していた2週間で規定値まで血糖値が下がり、退院出来ることに。
ちなみにほぼ退院直後に東京まで旅行に行ってめちゃくちゃ飯食った。そういうこともある。
退院からしばらく、7月までは月に1回通院していた。入院で胃が縮んだおかげか、血糖値もHbA1c(ヘモグロビンエーワンシー、糖化ヘモグロビン濃度)も順調に落ち着きに向かっている。
7月の通院で大病院への通院も終わり、からは2ヶ月に一度かかりつけ医にかかるということになった。
ということなので、今では私自身は割と元気(元々自覚症状はなかったが)。どちらかというと怖いのは40〜50代になってから、ということになる。糖尿病は若いうちに発症する方がよっぽど怖いのだ。
みんなも食生活には気を付けて、怪しいと思ったら早めに検査を受けるんだぞ。私はこれでも結構発覚が早かった方なんだからな。
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