コンテンツの届け方をデザインする〜宝島社の事例から〜
宝島社らしいな、と思ったニュースを見たのでご紹介。
表紙の上に「見える付録」を付けたという。めちゃくちゃ大胆な施策です。ファッション誌として付録を始めたのは、宝島社が初めてだったと思いますが(違ったらすいません)、こうなると完全にコンテンツと付録が逆転しています。
これがこの会社の面白いところ。
宝島社は自分たちの一番の強みは「コンテンツ制作力」ではなく、全国に届けられる「流通網」だと認識していると聞いたことがあります。
出版の流通網で「ブランド体験」を届ける
雑誌「sweet」が「Cher(シェル)」の付録を付けたことで、その後(もともと人気でしたが)Cherが爆発的な人気を博した時期がありました。
これって出版の流通網で、Cherのブランド体験を「非認知層」にも届けられた結果という見方もできます。Cherのことを知らなかった人にも、「雑誌買ってバッグもらえるならいいかも」と手にとってもらえ、ブランドを体験してもらえた。これってブランド側からすると、広告価値が非常に高いです。
自分たちの強みは「届ける力」であり、そこにコンテンツ以外のものを乗せて価値を生めないだろうか。そういう考え方がないと、この発想は生まれなかったような気がします。
その後「sweet」は100万部を超え、30前後の女性に大きな支持を受けるように。一時期、ルミネの売り場が「sweet」ブランドばかりになったこともあるそうです。
もちろんそれは、コンテンツが強かったからこそ。ただ、コンテンツが強くても届かなければ、その強さを発揮できないと知っていたってのも大きいはず。
今回の宝島の施策には、「コンビニのラックでいかに目立つかが生命線。であれば、極論表紙が見えなくたっていい。手にとってもらえさえすれば、自分たちの作ったコンテンツの価値が伝わるはず」という覚悟が垣間見えました。
コンテンツは作って終わりじゃない
ネット以前、全国に張り巡らされた放送網や取次による流通網のおかげで、放送や出版に関わる作り手は「届く」ことは考えず「作る」ことに集中できました。ただ、いまそうはいきません。
ネットで誰もが発信できるようになったために、膨大な量のコンテンツが溢れ、コンテンツは人に届きにくくなってしまいました。これからの作り手には、作り方だけではなく届け方のスキルも求められています。
タイトルワーク、SEO、拡散の科学、サムネイルの見せ方などなど、「コンテンツとの出会い方」まで考えられる人が、生き残っていける人だと思っています。
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